2020.12.17 RE100の波、コンビニにも最大手セブン&アイ参画に「インパクト大」
太陽光パネルを設置したセブン-イレブンの店舗
流通大手の「セブン&アイ・ホールディングス(HD)」は、事業活動で使う電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的イニシアチブ「RE100」に参画した、と発表した。傘下のセブン-イレブン・ジャパンは、全国に2万1000店超を展開するコンビニ最大手。RE100の国内での窓口を務める「日本気候リーダーズ・パートナーシップ」(JCLP、神奈川県葉山町)は「知名度も高く、電力消費量も多い。実質的なインパクトは大きいはず」と歓迎する。
グループでは、19年5月に環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」を策定。二酸化炭素(CO₂)排出量削減を重点テーマの一つに掲げた。店舗運営に伴う削減の目標も、当初は「50年までに13年度比80%以上削減」から、参画に合わせて、「50年までに実質ゼロ」に変更したという。
グループは20年1月にJCLPの賛助会員となり取り組みを加速。傘下のイトーヨーカ堂が運営する大型ショッピングセンター「アリオ市原」(千葉県市原市)で、発電容量は2MWを超えるメガソーラーを稼働させるなどしてきた。
だが、セブン-イレブンの店舗は全国で2万1038店舗(20年11月末時点)。店舗数で格段に多いコンビニへの対応は「重要な対策の一つ」(セブン&アイHD)になる。JCLPによると、コンビニ業界でのRE100参画は、中堅のミニストップなど運営するイオンが18年3月に加わったが、大手では初めてとなる。
省エネ創エネを徹底、日米で目指す
グループの店舗に太陽光パネルを設置したり、省エネ設備を設けたりする取り組みを進める中、神奈川県内の10店舗で19年9月から順次、店舗の電力全てを再エネで調達する実証実験を始めた。セブン-イレブンとして初めての試みだ。
コンビニ事業でのCO₂排出は、店舗運営と物流とに大別されるが、店舗運営の電力消費に起因する部分が約9割を占めるという。この部分の使用量全てを再エネに置き換える。屋根上の太陽光パネルと蓄電池の組み合わせによる自家消費と、卒FITの電力供給を受けて、実質再エネ100%を達成した。蓄電池は、電気自動車(EV)のバッテリを再利用したオリジナルだ。
また、20年11月には、省エネ・創エネをさらに推進するため、最新の設備と技術を採用した実証店舗を、東京都青梅市にオープンさせた。従来工法より断念性などに優れた木造建築や、高効率の太陽光パネル、複層ガラスなどを採り入れた。
送風ファンなどを利用して入り口からの外気の侵入を防いで空調効率を改善するなど省エネに徹した店づくりになっている。CO₂排出量を13年度比で54%削減できる見込みだ。まだ、検証段階だが、全国に展開可能かどうかなどの検討を進める。
米国でコンビニ約9000店を展開する関連会社も同様の目標を目指す。セブン&アイHD広報センターは「検証などを一つ一つ、積み上げていきながら50年目標を目指していく」と話している。