2021.02.12 東芝4-12月連結、減収・営業減益純損益は黒字転換

 東芝が12日発表した21年3月期第3四半期(20年4-12月)連結決算は、前年同期比で減収、営業減益となった。上期を中心に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた。純損益は、前年同期に米国の液化天然ガス(LNG)事業の売却損を計上していた反動などで、黒字に転換した。

 コロナの影響額を4-12月期で見ると売上高が2898億円、営業利益が892億円。セグメント別では、半導体事業などを含む「デバイス&ストレージ」が受けた影響額が最も大きかった。フィリピンのハードディスクドライブ(HDD)工場の稼働率が低下したほか、データセンター向けHDD事業の遅れも響いた。

 四半期別に見ると、コロナの影響は縮小傾向にあり、10-12月期(3Q)の営業利益は約2倍の209億円を達成。3Qに190億円の押し下げ要因となったコロナの影響額は、1-3月期(4Q)に8億円まで縮小する見通し。コロナ禍でずれ込んだ納期や工期の取り込みが寄与する。

決算説明をする加茂執行役上席常務

 コロナの影響や構造改革費を除いた「コアベース」の営業利益を4-12月期で見ると、エネルギーを除く全てのソリューションが増益を確保。オンライン上の説明会で、加茂正治執行役上席常務は「基礎収益力の強化が順調に進んでいる」と手応えを強調した。

 連結子会社で物流事業を手がける東芝ロジスティクスの株式を物流事業大手に譲渡したことなどに伴い、493億円の営業外利益を計上。半導体大手キオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)の業績改善などもプラス要因となった。

 通期の売上高予想は前回公表時より200億円下方修正。営業利益は従来予想を据え置いた。参考値として公表していた純利益は前回の500億円から700億円に引き上げた。年間配当予想は40円から50円に上方修正。21年度以降も増配を目指す方針だ。

 東芝は1月、東京証券取引所第2部から第1部に復帰した。加茂上席常務は、この節目を安定成長に向けた「スタート地点」と位置づけ、「ガバナンス(企業統治)とコンプライアンス(法令順守)の強化をさらに進めたい」と意欲を示した。

(電波新聞紙面では16日付に掲載します)