2021.02.24 【複合機&プリンタソリューション特集】 ニューノーマルソリューションウィズ/アフターコロナ対応、紙の電子化にも注目

働き方改革で注目される個人型ワークスペースの「CocoDesk」

紙の電子化が働き方改革の鍵を握る紙の電子化が働き方改革の鍵を握る

 リモート環境の定着など、新しい働き方が本格化している。ニューノーマル(新しい日常)に対応して働き方を見直す企業も増加。オフィスや在宅、外出先など働く場所を問わない柔軟な働き方が求められており、今や、〝いつでも、どこでも働ける環境〟が必須条件といえる。新型コロナ発生以来、各企業はテレワークやWeb会議システムといったリモート環境の整備を進めてきた。メーカー各社ではウィズコロナ、アフターコロナに対応したニューノーマル時代のソリューションを強化する。

 リコージャパンは、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)を支援するオフィスサービス事業の強化を加速させている。

 中堅・中小企業向けの、ニューノーマル環境下での業務効率化や生産性向上を実現するソリューション「RICOH Digital Processing Service(RDPS、リコー デジタル プロセシング サービス)」に注力する。

 同社は顧客基盤や豊富なノウハウが強み。J.D.Power社の満足度調査で6年連続1位、IT導入補助金採択数2年連続1位となっている。

 中小企業向けに提供している、業務課題を解決するスクラムパッケージの販売が伸長。現在121パッケージをそろえ、昨年末で累計販売数が10万本を突破した。

 スクラムパッケージは、お客の業種ごとに業務全体のフローを捉え、最適な製品・サービス・サポートを組み合わせたソリューションが特徴。中堅企業向けには、SEの開発事例をアセット化したスクラムアセットを提供しており好評だ。

 富士ゼロックスは、テレワークソリューションが好調。テレワークでは、自宅のインターネット環境から安心して社内システムにアクセスできることが求められている。同社のbeatリモートアクセスは、契約件数が前年同期比8倍と大幅に伸びており、特に中小企業からの受注が増加した。

 ドキュメントハンドリングソフト「DocuWorks(ドキュワークス)」の累計販売数も昨年11月、770万本(国内外)に達した。特に5月以降は販売が急増、約70万本を販売している。

 クラウドに上げたデータをセブン-イレブン店舗で出力できるネットプリントサービスの新規契約数が前年比5倍増で推移するほか、個室ワークスペースの「CocoDesk(ココデスク)」の直近の利用登録者数が昨年4月比15倍に急増。ウイルス抑制・除菌用装置の設置も順次拡大し、現在の設置台数は60台となった。

 キヤノン/キヤノンマーケティングジャパンは、新しい働き方を支援するソリューションを強化。複合機に搭載した業界最高クラスの高速・高品質スキャナ機能により、読み取り速度・品質を大幅に向上させ、テレワーク時代に対応したストレスのない働く環境を提案する。

 セイコーエプソン/エプソン販売は、プリントやコピーの使用状況に合わせてプランや機器を選べる「スマートチャージ」に力を入れる。文教市場を対象に用意した「アカデミックプラン」が人気だ。先生方の働き方改革を支援するとともに、生徒の学びの向上などが評価されている。文教市場だけでなく、医療現場へもスマートチャージの展開を図り、病院など医療現場の課題に応えていく。

 コニカミノルタは、新ビジョンステートメント「Imaging to the People」の下、「as a Service(アズ・ア・サービス)」モデルで顧客価値を提供する。昨年11月、画像IoTプラットフォーム「FORXAI(フォーサイ)」を投入した。

 コニカミノルタジャパンでは、自社実践による働き方改革「いいじかん設計」サービスに注力するとともに、複合機とサーバーを統合した「Workplace Hub Smart(ワークプレイス ハブ スマート)」を本格展開する。

 東芝テックは、複合機とクラウドサービスの連携やスキャン機能、OCR機能を強化。各種クラウドサービスと連携して、複合機から直接スキャンデータのアップデートやデータのプリントアウトを可能にした。紙のデータ化とRPAを活用した自動化などを提案し、生産性の向上をサポートする。

 国のデジタル化政策の推進に伴い、今後、注目されるのが契約書など紙の電子化だ。企業のDXの障壁となっているのが紙の存在であり、コロナ対策としてテレワークを前提とした働き方改革が進む中、契約書や社内決済の電子化が鍵を握る。

 富士ゼロックスは、お客との契約書などを対象に、DocuSignの電子署名サービスの自社導入を開始した。今後、国内最大となる年間50万契約、3年間150万契約の規模で、電子署名の活用を推進していく。

 こうした自社での活用ノウハウを生かし、コロナ禍での社会課題となっている押印処理の非効率性を解消し、お客のDXを強力に後押しする。同社はDocuSign、Adobe Sign、クラウドサインの三つの電子サインに力を注ぐ。

 また、米国のロボティクスAI技術を持つリップコード社と「富士フイルムリップコード」を設立、事業を開始した。富士ゼロックスによる文書の電子化技術、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)ノウハウと、リップコード社のロボットを使って書類を電子化する技術を融合し、企業のDXを支援する。

 リコージャパンも今月、お客との契約に関する一連の業務を電子化するシステムを全国の支社で導入した。営業活動の効率化と非対面での契約によるニューノーマル対応を実現するほか、実践ノウハウを提供していく。21年度以降、注文書や保守契約書などにも順次拡大。お客との年間100万件を超える契約業務を電子契約に置き換えていく計画だ。

 キヤノンマーケティングジャパンでは、弁護士ドットコムのWeb完結型クラウド契約サービス「クラウドサイン」を中核とした「契約業務支援サービス」の提供を昨年12月に開始した。

 このほか、コニカミノルタジャパンは人事労務管理業務をチャットによってワンストップで提供する社会労務法人のTRIPORTと、エプソン販売は会計事務所と連携。中小企業の経営力強化や地域創生につなげる取り組みを強化している。