2021.03.01 大手モジュールメーカーが電力小売りへハンファQセルズ、太陽光普及を後押し
設置された太陽光発電設備。電力小売り事業にも参入して、さらなる普及を図る
韓国の大手財閥企業、ハンファの日本法人で太陽光モジュールメーカーのハンファQセルズジャパン(東京都港区)が、国内での電力小売り事業に参入する。4月中に、ほぼ全国の家庭向け(沖縄県を除く)に販売を始める。同社によると、モジュールメーカーが単独で電力小売りに参入するのは珍しい。
同社は、国内で太陽光モジュールを年間800MW前後の出荷を続けており、出荷量はトップクラス。国内に1000社以上を有した販売代理店のネットワークや、電力プランの比較サイトなどを活用し、両面から電力販売を拡大させていく狙いだ。
既に同社グループでは、拡大する再生可能エネルギーの地産地消などを見据えて、再エネや蓄電池といった分散型電源などをビジネスの的にした、100%子会社、レネックス(東京都港区)を16年1月に設立。傘下のレネックス電力(同)が数年前から電力サービス事業を開始した。
一般住宅や事業所の屋根に太陽光発電設備を無償提供して自家消費した電気料金などから収益を上げるPPA事業を展開している。全国で百数十社の代理店などを通じて、関東や関西などに一般家庭を中心に約2000棟に導入された実績もあるという。
今回、レネックス電力が一般家庭向けの電力販売を始める。プランは、大手電力よりも5%程度安くした価格設定にするほか、モジュールメーカーとしての強みを生かして、大手電力と同等の価格でも、卸市場などから調達した電力に、再エネ由来の電力であることを証明する非化石証書などを組み合わせて実現した実質再エネ100%の電力プランなどの提供にも力を入れていく。
太陽光発電設備やPPAとのセット売りなども検討していき、太陽光発電設備のさらなる普及を後押ししていく考えだ。また、今後は工場や家庭などが持つ分散型電源を統合・制御して一つの発電所のように機能させる仮想発電所(VPP)事業などへの参入も視野に入れ、実証なども始めているという。
ハンファQセルズジャパンは84年に、太陽電池世界大手の韓国・ハンファグループの日本法人として設立。2011年から国内で太陽光事業に参入し、国内での年間出荷量でトップになった実績もある。累積出荷量は、19年12月時点で5.1GWに達している。