2021.03.26 【中国拠点特集】日本ケミコン20年度売上げ10%以上増見込む

安嶋 総経理

 日本ケミコンの上海市営業拠点「上海貴弥功貿易有限公司」(上海ケミコン)は、自動車や太陽光関連、巣ごもり関連などでの受注増により、活況なビジネス状況が続いている。20年度(21年3月期)通期の売上げも前期比1割以上の増加となる見込み。

 日本ケミコンは中華圏では、中国統括会社の香港ケミコンを中核に、上海、深圳、香港、台湾に販売法人を展開し、工場はアルミ箔製造の東莞KDK(東莞市)やアルミ電解コンデンサを製造する無錫ケミコン(無錫市)などがある。

 上海ケミコンは、1998年に設立され、その後、大連と北京に衛星拠点も開設。計64人の陣容で華東や華北・東北地区などのビジネスをカバー。上海には2人の技術者も駐在する。

 同法人の売上げは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で20年1-3月は低迷したが、4月以降は受注が回復に向かい、前年同月実績を上回るようになった。特に10月以降、車載関連の受注が急増し、現在も勢いが継続している。同様に太陽光関係のビジネスも上がってきている。

 同法人の安嶋良総経理は、「20年度は当初はコロナの影響を悲観していたが、結果的には通期で1割以上の増収となる見通し。中華圏ではコロナ後に消費構造の大きな変化が起こり、それまでの旅行消費がコンシューマ製品や自動車への消費にシフトした。特に太陽光やEV関係は現地政府の環境対策重視の方針もあり、21年も継続伸長すると見ている」と話す。

 このほか、テレワークや巣ごもりでノートPCやゲーム機の需要も伸長し、これらに搭載されるコンデンサの受注も伸びている。

 上海ケミコンの顧客は、日系、台湾系、欧米系、中華系など多岐にわたる。「特に最近は、中華系のPVやEVメーカー向けと欧米系車載ビジネスの伸長が顕著」(安嶋総経理)。

 華東地区には無錫工場があり、顧客への迅速な対応がとれるのも強み。

 21年度について安嶋総経理は、「足元では能力対比で受注水準が高すぎるため、受注を調整する必要があるのが実情。いずれにせよ21年は工場のフル生産が続くのは確実で売上げも増える見通し。懸念は原材料コストや物流費の高騰。これらを考慮しながら事業を進める」と話す。