2021.07.02 【家電総合特集】調理家電家庭で料理する機会が増加、IH炊飯器など伸びる

巣ごもり消費で調理家電は全般的に好調な推移を示す

 コロナ禍で在宅時間が増え、外食を控えたことで内食化が進んだ。家庭で食事をする機会が増えたため、調理家電商品群は2020年度は全般的に好調な推移を示し、商品によっては2桁伸長した商品もある。

 タイガー魔法瓶の調べでは、コロナ禍で以前と比べて料理をする頻度が増えたと答えた人は、半数近くの41.6%に上ったという(21年3月インターネット調査n=300)。

 家庭で料理をする機会が増えることで、より時短・家事省力化につながる特長を持った調理家電商品群への関心も高まる。

 ホットプレートが前年度比約1.6倍(日本電機工業会=JEMAまとめ)と大きく伸ばしたのも、簡単においしく調理できる利便性が支持されたものだ。

 シャープが昨年4月に行った調査では、家事ストレスの軽減のために、家電購入を検討したいと答えた人は5割おり、このうち33.5%は調理家電を検討すると答えた。掃除機、洗濯機、冷蔵庫、オーブンレンジ、食器洗い乾燥機を抑え、購入を検討する家電のトップとなった(インターネット調査n=6800)。

 調理家電の主力商品の一つが炊飯器だが、昨年度はほかの調理家電と比べると大きな伸びはなかったものの、インバウンド需要が減少するなど厳しい市場環境にある中で、約557万台と大きな需要があった。

 また、4月単月の出荷台数は前年同月比13.6%増と2桁伸長して3カ月ぶりのプラスとなり、4~5月累計でも前年同期比を上回って堅調に推移。高級IHジャー炊飯器が健闘しているという(JEMA調べ)。

 家庭で食事をする機会が増えたことで、よりご飯のおいしさに対するニーズが強まり、高級炊飯ジャーへの関心は高く、各社高級ゾーンの商品戦略を強めている。

 IHジャー炊飯器は、米をしっかりと炊き上げる火力が高く、おいしさニーズにしっかり応えられる。高級ゾーンでの炊飯技術はより高度化しており、昔ながらのかまど炊きを目指す炊飯プログラムの開発、高火力で炊ける内釜やIH熱源の進化など、各社独自の技術で、米の甘み、うま味を引き出す炊飯方式の開発で独自色を打ち出している。

 調理家電のもう一方の主力商品・電子レンジは、巣ごもり需要が拡大する中、20年度は好調に推移した。出荷台数は、前年比108%の358万3000台となり、3年ぶりの増加となっている(JEMA調べ)。

 中でも家庭でおいしく調理したいというニーズに応え、高級オーブンレンジが健闘した。家事負担が大きくなり、時短、簡単調理を実現する電子レンジ(オーブンレンジ)が注目されたのに加えて、家族とおいしい料理を楽しみたいというユーザーも多く、多彩な調理機能を持つ高級オーブンレンジが注目された。

 炊飯器もオーブンレンジも、各社はIoT機能搭載を加速させており、調理性能などハード本体の進化と合わせて、炊飯プログラムの追加、レシピ提案、食材の宅配など、今までにない新しい食の価値創出に向けた商品戦略にも力が入っている。