2021.07.16 【電子部品技術総合特集】研究開発の取り組みオータックス・富田周敬社長
富田 社長
顧客の使い勝手向上 自動化生産への対応推進
オータックスは「メーカーサービス業」を方針に、「顧客に役立つ商品サービス」を開発ポリシーに商品開発を進めている。
2020年7月の社内組織改編で技術担当役員兼務となった富田周敬社長は、最近の技術開発の取り組みについて「最近はスイッチのリニューアル品の開発案件が増えている。長年スイッチを手掛けてきた中で、新たな材料なども開発されているため、設計を改良し、より自動化に適した製品などにリニューアルすることで、顧客の使い勝手向上を目指している」と話す。
リニューアル品の具体例では、ロータリーDIPスイッチは、「KUシリーズ」の後継機種の「KZシリーズ」を20年に販売開始した。寸法はKUと同等ながら、「クリック感の向上」「自動化量産対応に向けた部品形状・構成の再検討による品質向上」を達成した。電源スイッチでは、ロッカースイッチの新製品として「VZシリーズ」を開発した。VZシリーズも同様に、組み立て自動化により、コスト削減と品質安定化を追求している。
今後の用途別展開では、既存分野に加え、EVやスマートシティーなどをターゲットとした電子部品(コネクター、スイッチ、端子台など)開発に力を注ぐ。「これらの新規分野向けでは、他社のノウハウも組み合わせながら開発を進める。エンジニアリング企業と提携して進めているプロジェクトもある」(富田社長)。
重点分野の一つの医療関連市場向けでは、ISO13485認証取得済みの強みを生かした展開を図る。車載市場向けは、中国・深圳工場(広東省深圳市)で「IATF16949」認証を取得済みで、「これらのアドバンテージを生かしていく」(富田社長)。
技術担当役員兼務後の手応えについて、富田社長は「本社の技術部門と工場サイドとの連携が強化され、開発スピードが着実に向上した」と話す。
同社は今年からSDGsを導入し、商品開発段階からの材料削減、低カーボン化などの取り組みを強化。材料削減では、省材料設計や製造工程で使用する材料の削減などに取り組み、特にスプールランナーレスの適用拡大に力を注ぐ。工場への太陽光パネル設置も実施した。「今後もSDGsにグループ全体で取り組む」(富田社長)。
グローバル生産体制拡充として、中国新工場「鶴山工場」(広東省江門市)を18年秋に稼働した。同工場は現在はアルミ加工を手掛けており、「量産性の改善や廃液の削減などで、SDGsに努めている」(富田社長)。