2021.08.31 【ソリューションプロバイダー特集】富士通コミュニケーションサービス 山本享史社長
山本 社長
AI使い顧客体験の痛点を分析
この一年は働き方改革とセンター品質向上への取り組みを進めるとともに、企業の顧客接点をより良くするカスタマーエクスペリエンス(CX、顧客体験価値)向上に向けた施策を打ってきた。
コンタクトセンターは顧客企業の事業環境に合わせた対応が必要で、簡単に在宅勤務やテレワークに切り替えられないが、現場で顧客対応するオペレーターの業務を効率化できれば負荷は大きく軽減できる。この一年はデジタル技術を活用し、現場の業務を自動化し、働き方改革とサービス品質の向上という相反する課題解決に取り組んできた。
「デジタル活用報奨制度」をつくり、現場のデジタル化によって自動化を図り工数削減に取り組んだ。約60の案件が上がり200人月の自動化、工数で5000時間、1億円以上の効率化を図れた。増加する業務量に対し人員を増やさず対応できるようになったほか、ミスもなくなり品質向上にもつながっている。
CX向上に向けた関心が高まる中、昨年はCX関連ソリューションを体系化し「デザイン・フォー・CX」として提案を始めた。より分かりやすくCXを訴求できるため、今後はより多くの事例をつくっていきたい。
CX関連の新たな取り組みでは、顧客の期待を裏切る体験となる〝痛点〟に着目し、人工知能(AI)を使い顧客体験の痛点を分析するツールを開発した。コンタクトセンターに集まる膨大な顧客の声をAIで分析して効果的に痛点を見つけ出せるようになった。このツールの適用範囲を広げCX向上につなげていく。
2021年度は事業基盤の変革とCXビジネスの強化、人財強化の3領域に注力している。柔軟な働き方ができるようコンタクトセンター基盤のクラウド化を進める。一部で在宅でのセンター運用の検証を始めたほか、サテライトオフィスによるセンター運用も検討している。CXのメニューもできていることからウェビナーなどを活用し提案の場を広げていきたい。同時に社員一人一人の質を上げていくために、研修の強化だけでなく働きがいのある職場づくりにも取り組んでいく。