2021.08.31 【ソリューションプロバイダー特集】市場動向 IoT/ビッグデータ
非構造データ急速増加
あらゆるモノがインターネットにつながるデータドリブン(データ駆動型)社会を迎えている。データは〝第4の経営資源〟とも言われ、その利活用が、社会、企業の成長を大きく左右する。デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル変革)の成否もデータの利活用が鍵を握っている。データを活用し、新たな価値につなげることができるかが求められている。
データは「構造化データ」と「非構造化データ」に分けられる。構造化データは業務システムなど購買データや顧客データなど表形式のデータのことを言う。SCM、ERP、CRMなど業務ソフトウエアのデータベースで使われるデータである。
これに対してSNS、メールなどのテキストデータ、音声、画像、動画などのデータを非構造化データと呼んでいる。
近年、急速に増大し、今後も増加が加速するとみられているのが、非構造化データだ。米IDCでは約8割が非構造化データと、分析している。
令和2年版情報通信白書では「コンテンツの大容量化やIoTデバイスの普及などにより増大しているデータ流通は、第5世代移動通信規格5Gの普及により加速される」と分析。一方で、GPSデータやセンサーデータなどのIoTデバイスは、2020年は15年比で約4~7倍の伸びを示しているものの、「アメリカおよびドイツの企業に比べると、わが国のデジタルデータはさらに活用されることが望まれる」と指摘している。同時に、パーソナルデータの取り扱い、サイバーセキュリティーのリスクへの対応などを課題として挙げている。
データの爆発的な伸びについては、シスコシステムズが「Cisco Visual Networking Index」で、世界の月間のIPトラフィックは22年までに396エクサバイトに達し、17年からの5年間で3倍に増加すると予測する。また、エリクソンも「Ericson Mobility Report」で、世界のモバイル経由でのデータ通信量は19年から25年までは年間で27%増加し、25年には月160エクサバイトを超える、と見込んでいる。
こうしたデータの爆発的な増加の背景にあるのは、コンテンツの大容量化とIoTデバイスの普及である。動画や音楽配信などがデータの増加をもたらしており、また、センサーなどのIoTデバイスの急速な普及がある。
いずれにしろ、データは、爆発的に増加を続けており、将来さらに加速する。データドリブン時代は、こうしたデータを〝見える化〟、利活用することで、ビジネス変革や社会の発展や企業の成長につなげていけるかが重要だ。
しかし、データの利活用では、まだまだ日本は遅れている、と言われる。世界的な調査会社のガートナーでは毎年、日本企業のデータ利活用に関する調査結果を行っている。20年11月に実施した調査が最新だが、これによると「約60%超はデータの利活用に対して課題意識を持っている」として、データ利活用への意識や関心は高いと見るものの、ビジネスの成果については、18年以降の推移は一進一退で、「十分な成果が得られていない」と分析している。阻害要因として「関連スキルや人員の不足」(58%)、「組織全体のデータ・リテラシーの不足」(58%)を挙げている。
データ利活用の成果を上げていくには、膨大なデータを分析・解析し、予測するための統計分析や人工知能(AI)など高度なスキルを持つデータサイエンティストの育成が課題と言える。
データの活用の考え方として、最注目されているのが、エッジコンピューティング。データをクラウドで管理せず、末端の機器で管理する考え方だ。通信の遅延が少なくなり、リアルタイムでデータを分析できるためだ。
このほどIDC Japanでは、国内のIoTインフラ市場予測を発表した。これによると、21年の国内IoT市場は、前年比22.5%増の1285億円となる見込みという。また、20~25年にかけては、年平均17.1%の成長を見込み、金額は2312億円になると予測する。
IoTをクラウドやデーターセンターのIoTコアインフラストラクチャー層(IoTコア層)、エッジコンピューティング層(IoTエッジ層)、IoTエンドポイント層(センサー、デバイス)の3層モデルで分析しているが、「IoTエッジインフラが、AI技術を利用した高度なデータ処理ニーズで高まる」と分析してる。
いずれにしろ、今後爆発的に増加するビッグデータの利活用の促進が注目される。