2021.09.01 【防災の日特集】ポータブル電源需要が増加家電量販店 防災グッズを展示・提案

家電量販店では防災商品コーナーが存在感を増している

非家電品と組み合わせた防災グッズ提案も非家電品と組み合わせた防災グッズ提案も

 地震や台風などの自然災害への備えに対する意識が年々高まる中、9月1日の「防災の日」を今年も迎えた。内閣府は防災の日を含む1週間を「防災週間」として、防災知識の普及や啓発活動を行っている。この時期は台風シーズンだけに防災意識は高まる傾向にあり、非家電商材も取り扱う家電量販店では防災グッズ一式をまとめて展示、提案する光景も目立ってきた。

 自然災害の発生が増え、規模も拡大していると思う人は約9割--。防災の日に合わせ、スカパーJSATが全国の男女1000人を対象に実施した調査で、このような結果が浮き彫りになった。居住エリア別では北陸・甲信越が95%を超えるほどだった。

 今年も8月のお盆時期に、停滞する前線の影響で西日本を中心に記録的な大雨となり、河川の氾濫や土砂災害が多発した。台風や大雨による水害だけでなく、地震も多い日本では、災害時の非常食や持ち出し品などの準備に加え、家電や家具などの転倒防止も重要だ。

 スカパーの調査では、非常持ち出し品を準備している人は全体の28.6%、家具・家電の固定(転倒防止)を行っている人は22.3%だった。

 防災商品は幅広い。懐中電灯や乾電池、手回しラジオなどのほか、新型コロナ禍となって以降、キャンプなどのアウトドアシーンでも活用できるポータブル電源の需要が増えている。

 「大雨が降ったりすると防災用品のニーズが急激に高まる。特に最近ではポータブル電源が売れている」。そう話すのは、ヤマダデンキテックライフセレクト木更津請西本店(千葉県木更津市)の杉本崇店長だ。

 同店では、2階の家電フロアに、エスカレーターで上がってすぐの目立つ場所に防災コーナーを設けている。家電量販店では、防災商品は以前、売り場の隅っこであったり、商品がバラバラに展示されたりしていたが、近年では専用コーナーをつくって展示するケースが増えた。

 目につきやすい位置に展示しているのも、多くのお客が防災商品を求めて来店してくるからだ。非家電品も取り扱う木更津請西本店では、ブルーシートや防災バッグなどと合わせて展示。10万円を超すポータブル電源が売れるなど、防災商品にかける金額も増えているようだ。

 一般的に備蓄には、「3日分×家族の人数分」が必要と言われている。この備蓄量は、大規模災害発生時の3日間(72時間)は人命救助が優先されるため、災害初期を乗り切るための最低限の数量に当たる。

 スカパーの調査では、4割近い人が非常食を家庭内で用意しているという結果が出たが、防災意識をもっと浸透させる必要があるだろう。

 国は防災推進協議会の協力で内閣府政策統括官(防災担当)が運営するウエブサイト「TEAM防災ジャパン」を通じ、日頃からの情報発信を強化し、災害時における備えの重要性を訴えている。

電池、ローリングストック法を提唱

 災害時には必ずといっていいほど電池が必要になる。懐中電灯やランタン、ラジオ、スマートフォン充電器など、乾電池で動く機器も多い。ところが災害はいつ発生するか分からないため、発生してから準備していては対応ができないことも。日頃から、防災用品は備蓄しておくことが重要になる。

 そこで日本気象協会や電池メーカーのFDKなどが提唱しているのが「ローリングストック法」だ。ローリングストックとは、電池など災害時に必要となる備品を普段から多めに備えておき、使った分を新しく補充する方法のこと。電池の場合は使いながら買い足すため、災害時に古くて使えないといったことも防げるようになる。

 日本気象協会では、災害時に5人家族が3日間過ごすために最低必要な電池の備蓄本数の目安を約50本としている。保管場所は湿度などを抑えた暗所が適しており、機器に電池を入れたまま保管しないよう働きかけている。店頭でもこうした訴求をしていくことが今後求められる。