2021.09.03 【ITU協会創立50周年特集】パネルディスカッションICT技術標準化は必要

左上から時計回りに山川氏、趙氏、田原氏、近藤氏

 式典の後半では、「国際標準化活動の過去・現在・未来~ITU協会への期待と展望~」と題したパネルディスカッションが行われた。日本ITU協会の山川理事長がモデレーターを務め、ITUの趙厚麟事務総局長、APTの近藤勝則事務総長、総務省国際戦略局の田原康生局長が活発な議論を交わした。

 3者は、ICTは変化が激しい分野だが、こうした時代だからこそ技術の標準化活動が必要との考えで一致。

 ITUの趙事務総局長は「標準化活動は極めて重要な問題で、ITUもISOやIECなど国際機関とともに国際標準化活動に取り組んできた。日本ではARIB(電波産業会)やTTC(情報通信技術委員会)といった標準化団体が精力的に標準化に取り組んでいる。ITUは産業界への接近を図っており、市場のニーズに合わせていきたい」と語った。

 また通信分野ではアジアで中国、韓国、日本が重要だったが、今後はインドも重視していく必要があるとした。

 APTの近藤事務総長は、標準化制定の範囲は従来の機器・プロトコルから現在はサービスが入り、将来はソーシャルシステムにまで拡大すると指摘。

 発展途上国がメンバーになっているAPTはニーズに沿った標準化が必要になると語り、日本ITU協会には今後も協力をお願いしたいと述べた。

 総務省国際戦略局の田原局長は、国際標準化の目的は市場を創造することにあり、政府だけでは標準化は実現できない。産業界の協力が必要になると強調。総務省としても今後、ITUとの協力を強化していくと述べ、人材育成にも貢献していく考えを明らかにした。