2021.09.21 【中部産業特集】新規分野の開拓に注力

自動運転の実証実験に中部製造業の技術が導入されている

 中部経済産業局が9月14日に発表した管内(愛知、岐阜、三重、石川、富山)の総合経済動向によると、主力の輸送機械は、輸出が好調な自動車部品を中心に高水準で推移している。生産用機械も、金属工作機械を中心に緩やかに持ち直す。電子部品・デバイスは、スマートフォン向けを中心に緩やかに増加している。

 また、自動車関連産業を中心に半導体不足による供給制約の懸念に加え、東南アジアを中心に新型コロナ感染拡大に伴う部品供給不足による影響が出てきている。

 こうした中、愛知県の有力企業は、CASEやMaaSなどの最新モビリティー技術にみられる自動運転車や燃料電池車、電気自動車などの次世代自動車の研究開発、人工知能(AI)やIoTなどを生かした生産技術投資、カーボンニュートラルに向けた環境エネルギー対策投資など、事業の変革による新規分野の開拓に余念がない。

 デンソーは今年4月、新型「レクサスLS」、新型「MIRAI」に搭載される高度運転支援技術「AdvancedDrive」向けの製品として、車両周辺の検知性能を向上するLiDARとロケーター望遠カメラ、高精度に自車位置を特定する「SIS ECU」、センサー情報の高速処理を行い車両を制御する「ADS ECU」「ADX ECU」などを開発した。今後は、自動運転車向けの技術開発にも取り組んでいく。

 愛知製鋼は、5月に「愛知製鋼グループ21~23年度中期経営計画」を策定した。「愛知製鋼グループ2030年ビジョン」を基本方針に、電動車部品の開発、磁気マーカーシステムの早期事業化などのCASE対応、水素社会への対応など、事業の変革を進めている。

 日本ガイシは、東邦ガスが提供するカーボンニュートラルな都市ガスを導入し、NGKグループの愛知県内の四つの生産拠点で使用を開始した。同社は、水素やアンモニアなどCO₂を排出しないクリーンエネルギーをセラミックスの製造に利用する技術開発にも着手している。