2021.10.26 丸の内熱供給、CN都市ガスを地域熱供給に国内最大規模の導入量

熱を供給する、地下に張り巡らせた配管

 三菱地所グループの丸の内熱供給(東京都千代田区)は18日、同社が運営する全ての地域冷暖房プラントで消費する都市ガスを、カーボンニュートラル(CN)都市ガスに全量を切り替えると発表した。東京駅周辺エリアのビルなど向けに地域冷暖房システムを構築しており、供給されるCN都市ガスは年間約3400万立方メートルに達し、国内最大規模とみられる。東京ガスから購入し11月から使用を始める。

 同社は、冷暖房などのエネルギーを集中的に生産するため、地下にプラントを建設。ボイラーで熱した蒸気や電力でつくった冷水を、地下に張り巡らせた導管を通じて循環させるなどし、大規模ビルなどへ一括提供している。

 提供しているのは東京都心の大手町や丸の内、有楽町、内幸町、青山の各エリアのオフィスビルやホテルなど計78棟のほか、地下鉄の18駅の構内や、地下通路など14施設。供給区域は111万4000平方メートルにも及び、カバーするビルの延べ床面積は779万平方メートルに達する。

 熱供給するためのボイラーでは、これまで主に都市ガスを燃料としてきた。今回、東京ガスと合意しCNガスに一斉に切り替える。

蒸気をつくるボイラー

 CN都市ガスは、天然ガスの採掘から使用して燃焼するまでに発生する温室効果ガスを、他の地域で二酸化炭素(CO₂)を削減することなどで認証を得たクレジットで相殺する。そのため、燃焼させてもCO₂が発生しないと見なせるという。

 切り替える量は年間約3400万立方メートルになり、一般家庭約9万世帯分の都市ガス使用量に相当する。通常の都市ガスを使用した場合に比べ、採掘から燃焼までに発生するCO₂の総量を年間約9万7000㌧削減できる見込みだ。

 CN都市ガスは、2019年6月に輸入を始めた東京ガスから国内で初めて供給を受けたのが三菱地所だった。20年3月、三菱地所が所有するオフィスビル「丸の内ビルディング」(東京都千代田区)と「大手町パークビル」(同)の2棟で、丸の内熱供給が管理する、ガスで発電するコージェネレーションシステムなどにCN都市ガスが導入された。発電した電気の一部はビル内などで消費されている。

 三菱地所は、今年3月に設立された、CN都市ガスのもとになるCN液化天然ガス(LNG)を普及、拡大させる連携団体「カーボンニュートラルLNGバイヤーズアライアンス」にも参画。利用価値を向上させることなどが狙いだ。

 丸の内熱供給は「ガスを低炭素化することはまだ難しく、現状では、そう選択肢はない。CN都市ガスの法的位置付けなどもまだ明確でない。公的に認められるような動きを加速させたい」としている。