2021.11.02 21年度上半期、太陽光関連事業者の倒産動向調査 帝国データバンク大型倒産相次ぎ負債総額高水準

日に照らされる太陽光パネル

 帝国データバンク(東京都港区)は、2021年度上半期(4~9月)の太陽光関連事業者の倒産動向調査をまとめた。倒産件数は前年同期比4.9%減の39件にとどまったものの、大型倒産が発生。負債総額は前年同期の3倍超となるなど、急増傾向がみられるという。

 調査対象は、太陽光発電システムの販売や設置工事、パネル製造やコンサルティングなど関連事業を主に手掛ける事業者に加え、中心的な事業は別にあって太陽光関連事業に携わっている企業も含む。

 調査結果によると、半期ベースの倒産件数は3・半期ぶりに増加した。19年度上期(36件)から19年度下期(45件)は増加したが、20年度上期(41件)、20年度下期(38件)と減少を続けていた。

 一方、太陽光発電システムの製造販売などを手掛ける企業が多額の負債を抱えて倒産する例が相次いだ。この影響で負債総額は約364億1100万円と、前年同期比243.8%増の大幅増加。調査を本格化させた06年度上期以降、最多だった前期の20年度下期(380億6000万円)に次ぐ規模になった。高水準だった16年度上期(259億2300万円)も大きく上回った。

 そのため、21年度下期の動向次第では、年度単位で最多だった20年度(486億5000万円)を上回る可能性もある。

 前期に続いて負債総額が300億円超となったことについて、同社東京支社情報統括部では「再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)の売電価格が下落するなど、手厚い支援があった事業環境に変化がある中、一定の規模はあっても、経営に問題を抱えてきた企業が淘汰(とうた)されている」と指摘している。

 帝国データバンクによると、21年度上期には、中国の有力ソーラーメーカーと提携するなどしてきた大阪府内の事業者が、市場価格が急落し同社製品の競争力が低下した影響が出て民事再生法の適用を申請した。負債額は約87億円。

 また、太陽光発電事業などを手掛けていた東京都内の事業者が、親会社の紛争の影響などを受けて、破産手続き開始の決定を受けた。負債額は約35億8000万円。