2021.11.10 三菱電機「重点成長事業」のプレゼン進める新体制でFAなど強化 25年度売上高5兆円めざす
三菱電機は今週、「重点成長事業」の説明会を報道陣向けに、連日のように開いている。柱と位置付ける5事業について、担当常務らが相次いで登壇するもので、こうした取り組みは異例。一連の検査不正問題などでトップ交代があったばかりだが、漆間啓新社長をはじめ、新たな経営体制で積極姿勢をとることを内外にアピールする形だ。
重点成長事業は、「FA制御システム」「空調冷熱システム」「ビルシステム」「電動化/ADAS」「パワーデバイス」。これらを含め、21年度から始まった新中期経営計画で、最終年度の25年度に売上高5兆円(21年度予想4兆4700億円)、営業利益率10%(同5.8%)を掲げる。
FA制御システム
モノづくりの現場から技術革新に貢献
説明会前半日程の冒頭は、FA制御システム。製造の自動化と品質・生産性の向上を実現する機器・装置で、ソリューションをグローバルに提供し、モノづくりの現場から産業と技術革新の基盤構築に貢献しようというもの。シーケンサーやサーボ、CNCなどが主力となる。「顧客の技術革新をグローバルで支えるための事業体制の整備、製造のインテリジェント化に対する当社の特徴を生かした統合ソリューションを提供したい」(宮田芳和専務執行役FAシステム事業本部長)。事業基盤強化のために生産増強も進める。名古屋製作所の新拠点が24年度に竣工するなどし、21年度から25年度の成長投資は研究開発費1780億円を含め3460億円を見込む(16~20年度2590億円)。25年度にFAシステム事業として売上高8000億円以上(21年度予想7500億円)、営業利益率17%以上(同16.8%)を目標に置く。
電動化/ADAS
幅広い事業領域でより大きな価値創出
二つ目は、電動化/ADAS事業。脱炭素社会実現に向けた車の電動化や、安心安全なモビリティーによる社会課題解決が求められる中で、同事業を中長期で大きく成長させる。
同事業の中期目標は、25年度に売上高2500億円以上(20年度実績は1000億円)、営業利益率7%以上を掲げる。「電動化/ADAS関連の適用実績と、幅広い事業領域での技術やナレッジを掛け合わせ、より大きな価値を創出していく」(藪重洋常務執行役自動車機器事業本部長)。
事業拡大にあたっては、電動車両の導入拡大に合わせて、HEⅤからBEV(バッテリーEV)まで幅広い電動車両の拡大に対応するモーター・インバーターのラインアップ拡充を推進する。また、様々な市場で培われた技術の融合により、多様な環境における「安心・安全」な自動運転システムを実現、さらに狭域自動運転へ展開していく。
これらを通じて、サステナビリティ実現に向けた社会課題の解決への貢献を目指す。同事業の25年度売上高の内訳は、電動化事業が約1500億円、ADAS事業が約1000億円を想定する。
パワーデバイス
脱炭素社会のキーデバイス
前半日程の最後は、パワーデバイス。「以前はそこまで注目されなかったが、いまや脱炭素社会のキーデバイス」(齊藤譲・常務執行役)と位置付ける。残る4事業全てに関わる横断的な立ち位置なのが特徴。サステナビリティー実現につながり、自動車の電動化や民生機器のインバーター化などが追い風となっている。
成長目標としては、20年度の売上高1480億円、営業利益率0.4%のところを、21年度予想は同1840億円、同5%、25年度は同2400億円以上、同10%以上を目指す。「これはチャレンジグというより、十分達成可能な目標」としている。
特に、高い成長が見込まれる自動車と民生の分野に注力。ウエハー製造(前工程)の生産能力を、25年度までに20年度比で約2倍に増強するなどし、設備投資額は21~25年度で約1300億円を予定している。
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