2021.11.19 【ヘッドホン&イヤホン特集】完全ワイヤレスイヤホン好調年末年始商戦でも期待

写真1 ハイレゾオーディオワイヤレス(右)とハイレゾオーディオのロゴ

 ヘッドホン&イヤホン市場は堅調に推移している。コロナ禍により、家庭内で過ごす時間が増え、家族それぞれが各自好みの音楽や映画を気兼ねなく楽しめるツールとしての用途も追い風になっているようだ。プレゼント用品にも位置付けされ、年末年始のさらなる拡売が期待されている。

ハイレゾロゴ付与も追い風

 日本オーディオ協会(JAS)は、2014年6月12日に発表した〝Hi-Fi〟に次ぐ新音質基準の〝ハイレゾリューションオーディオ(ハイレゾ)〟の無線伝送における基準の〝ハイレゾ・オーディオ・ワイヤレス(HRAW)〟を18年11月28日に発表しロゴマークを設定した(写真1)。

 有線接続機器に限られていた高音質基準の〝ハイレゾ〟がブルートゥース(BT)を利用する無線接続機器にも拡大されたことになる。

 ハイレゾロゴへの登録を済ませたモデルはイヤホン/ヘッドホンが最も多く、必然的に音を供給するスマートフォンやポータブルアンプや据え置き型アンプなどもハイレゾ登録が進んでいる。

期待の〝HRAW〟

 グラフ1は、JASもまとめた年度別のイヤホン/ヘッドホンの累計登録モデル数の推移。今年は4~9月までの集計なので、伸びは少々下がって見えるが前年度をはるかに超えている(写真2)。

写真2 ハイレゾ対応イヤホン/ヘッドホンの人気は高い

 〝HRAW〟の伸びも少なく見えるが、ブルートゥース搭載イヤホンで最近人気の高シェアモデル、左右独立で、耳穴に装着して聴く〝完全ワイヤレスイヤホン(TWS)〟は、まだ〝HRAW〟の登録対象になっていない。

 技術は進化し続けているので、認証が受けられるようになれば上積みが激増することが予想される。

 〝TWS〟の売れ行きは相変わらず好調だ。登場当初は「マニアックな製品」という評価もあったが、今では高齢者も愛用するようになってきた。

 パソコンやデジタル家電の市場調査を行っているBCN-Rの調査によれば、〝TWS〟のイヤホン/ヘッドホンの販売金額シェアは20年2月時点で5割を超えている。

 また、高品質化を強く求めるユーザーを確保していることは、BCN-Rが今年7月に発表した、ノイズキャンセル機能を搭載した製品が〝TWS〟販売台数の5割まで上昇したという調査報告からも推測できる。

 なお、JASの公式サイトにある〝ハイレゾロゴの使用状況〟には、メーカー、ブランド、モデル、カテゴリー、発売日のデータが公表されている。

伸び続ける輸入数量と中国がトップの輸入金額シェア

 グラフ2は、JASから提供を受けた東京税関のイヤホン/ヘッドホンの20年までの成田空港とほかの港での輸入動向。輸入数量は変化しているが、金額は19年を例外に伸び続けている。

 成田空港の20年1~11月の輸入金額シェアは全国の港、空港の57.4%を占めている。グラフ3は同期間における成田空港の原産国別のシェアで、中国が89.5%と圧倒的なシェア。資料を提供いただいたJASの末永信一専務理事は「このシェアや東京税関の資料にある数量と金額はほぼリアルだろう」とコメントしている。

多彩な用途別製品で骨伝導型は難聴者にも好評

 通勤、スポーツ、防水、室内用など用途別製品も開発され、イヤホン/ヘッドホンは、オーディオ製品売り場の主役の座を占めている。中心は〝TWS〟販売コーナーで、各店は好位置に配置している(写真3)。

写真3 完全ワイヤレスイヤホンの売り場は大きい

 最近目立つのは骨伝導型のイヤホンコーナー。耳をふさがず使えるので周囲の音も聞こえて安全が守れる。外耳、中耳に障害のある難聴者に補聴効果を発揮するケースも報告されている(写真4)。

写真4 骨伝導イヤホンの売り場も広がってきた

 生活に定着したイヤホン/ヘッドホン。しっかりと販売していきたい。