2021.11.30 【産業機器・ロボット用部品特集】製品別動向

産業機器向け厚膜シャント抵抗器

回路部品

AI導入で各種受動部品が増加

 ロボットは、生産現場での無人化、医療分野における介護、工事現場におけるアシストなど、幅広い分野での普及が進んでいる。

 産業用ロボットは、人工知能(AI)の導入によって、電子化が一段と進展している。同時に、IoTの取り込みによって通信機能が付加され、この分野でも各種受動部品の使用が増えてきている。

 電力を供給する電源回路は、商用電力レス、低消費電力、耐環境性などが求められ、シリコンベースから、SiC、GaNといったパワーデバイスの技術トレンドに沿った高信頼性の電源用部品開発が進展している。

 さらに、誤動作を防止するために、ノイズ対策部品やサージ対策部品、過電流・過電圧防止、熱対策部品といった回路保護用部品も搭載される。

 ロボットでは、さまざまなセンサーを使用するために制御回路が必要で、コンデンサーや抵抗器、インダクターなど、機械的強度があり、環境変化に対応できる耐環境性能に優れた受動部品も多く使われることになる。

 ロボットに制御回路を組み込むためには回路基板の小型化が要求されることから、受動部品も小型化、モジュールも重要。

 最近は産業用ロボットの小型・軽量化ニーズも強いため、ロボット搭載部品には一層の小型・高性能化が要求される。

接続部品

堅牢・長寿命で安全性向上を重視

フローティングタイプ基板対基板コネクター

 接続部品は、ロボットなどの産業機器向けに、マシンの小型・高性能化に寄与する高信頼性コネクターや、大電流対応電源コネクター、現場作業性改善に寄与する接続部品、堅ろう・長寿命で安全性向上にも寄与する産業用スイッチなどの開発が活発化している。

 コネクターでは、産業用丸型防水コネクターなどの製品ラインアップ拡充に力が注がれ、使い勝手の良いワンタッチ嵌合タイプなどの提案が進んでいる。操作性に優れ経年変化によるネジ緩みも解消されるため、信頼性やメンテナンス性に貢献する。

 外部インターフェース用では、次世代の産業機器向けイーサネット用コネクターの提案なども進められている。

 産業機器の電源部接続に使用される電源用コネクターは、200A/250A対応などの大容量化への対応や、従来品と同等の電気容量に対応しながら小型化を図った製品開発などが進む。安全性向上のため、コネクターの堅ろう性や防水性能向上も重視される。

 各種産業機器や画像機器向けに、フローティングコネクターの開発も進められている。SATA規格相当の高速シリアル信号伝送が可能な高速伝送対応0.5ミリピッチフローティングコネクターや、ファインピッチ化を追求した0.4ミリピッチフローティングコネクターなどが製品化され、多様な取り付けニーズに対応した製品バラエティーや極数展開が進む。

 産業用スイッチは、装置の高機能化や高性能化、長寿命化、安全性向上などに寄与する製品開発に力が注がれる。

センサー

高精度・小型軽量化が求められる

3D角度センサー

 ロボットでは多様なセンサーが搭載される。主なセンサーには、荷重検知用の圧力センサーや関節角度検出用のポジションセンサー、姿勢制御用のジャイロセンサー、加速度センサー、光学式センサー、電流センサーなどがある。介護・福祉用ロボットでは離床センサーなども使用される。これらのセンサーは、機器の高性能化に伴い、一層の高精度化や小型軽量化、耐振動性などが求められている。

 ロボットハンドの把持力測定用の触覚センサーでは、厚さ1ミリメートル以下の薄くて柔軟なフィルムを基材に使用することで、ロボットハンドの指の表面に違和感なく実装できるフィルムタイプの3軸力覚センサーなどが開発されている。同センサーは、センサーの表面にかかる摩擦力の向きと強さを定量的に測定できる。ロボットハンドの指や手のひら部に実装することで、把持したモノを握る力だけでなく、「ねじる」「押し込む」「引っ張る」などの動作の大きさを測定することが可能になる。

 センサーメーカーは、MEMS技術とパッケージング技術などを駆使することで、汎用(はんよう)性に優れた高精度なロボット用センサー開発を強化。超小型かつ高分解能を実現するセンサー開発により、次世代のロボットニーズに応える。