2026.07.08 業界初、戸建て全館除湿を実現 パナソニックと積水ハウスが共同開発
新発想の除湿熱交換型換気システムの開発を発表した関係者(左から積水ハウスR&D本部総合住宅研究所の東田豊彦所長、中山執行役員R&D本部長、パナソニック HVAC & CCの重弘常務)
パナソニック HVAC & CCと積水ハウスは、外気に含まれる湿気を室内に取り込む前に抑え、住まい全体のムシムシ感やベタつきを軽減する、業界最高の除湿力を備えた室外設置型除湿熱交換型換気システム「SMART‑ECS SARAWEL(スマート イクス サラウェル)」を共同開発した。8月3日から積水ハウスの新築戸建住宅を対象に発売する。
これまで熱交換器・空調(冷暖房)機能を持つ全館空調システムは存在していたが、全館を高い能力で除湿できるシステムはなかった。
スマート イクス サラウェルは、夏季に湿度の高い外気から水分を取り除き、温度と湿度を調整して室内に取り込み、快適な住環境を実現する最先端室内環境システム。
日本の夏で進む高湿度化という課題に対し、定格除湿能力3.1kg/h相当の業界最高の除湿力(一日当たり約75L)で、外から住まいに入る湿気をあらかじめ抑える。 積水ハウスの住宅設計・住環境に関する知見と、パナソニックの空質・空調技術を組み合わせ、湿度を抑えた空気をリビングや寝室、廊下、洗面室など、エアコンを設置していない非居室にも届けられる。
同システムにより、夏や梅雨時期のムシムシ感や肌のベタつきを軽減し、住まい全体でサラッと心地よい空間づくりが実現する。
家に入れる前に湿気抑える発想
一般的なエアコンの除湿が「室内の湿気を取る」のに対し、スマート イクス サラウェルは「湿気を家に入れる前に抑える」発想だ。
屋外に設置した本体で外気中の水分を取り除き、温度を調整してから室内へ送り出すため、冷やしすぎに頼らず、サラッとした心地よさを住まい全体に届ける。
積水ハウス総合住宅研究所の検証では、第一種熱交換器システムよりもサラウェル換気システムの方が低湿度な空間づくりを可能にする結果を得ている。
屋外設置であるため、ドレン排水を気にせず、冷凍サイクルの性能を最大限引き出せることにより、従来エアコンよりも除湿力を高められる。
また、外気を処理して取り込む除湿熱交換型換気システムに、ビルトイン空気清浄機「Air Me(エア ミー)」などを組み合わせ、住まい全体の空気環境を整える。フィルターは5年に一度が交換目安。
湿気を抑えることに加え、室内から排出する冷えた空気の熱を活用し、外から取り込む暑い空気の温度上昇をやわらげる。除湿した外気を冷媒熱交換により心地よい状態に整え、換気しながら室温への影響を抑える。冬季は、熱交換換気により、室内の暖かい空気を利用し、外から取り込む冷たい空気を室温に近づける。
加えて、ベース空調として緩やかに温めた空気を換気しながら供給し、年間を通じて外気の影響を抑えた住環境づくりをサポートする。
外から取り込む空気は、除湿熱交換型換気システムに付属するサイクロン給気フードと高性能フィルターで汚れを取り除いてから室内へ送り出す。
室内ではエア ミーにより、空気中の汚れをすばやく除去する。除湿、熱交換換気、空気清浄を季節に応じて組み合わせることで、住まい全体の空気環境を整える。
洗濯物の乾燥時間短縮にも
住まい全体がサラッとした環境にあるため、部屋干しの洗濯物が乾きやすい環境にもなる。積水ハウス総合住宅研究所の検証では、洗濯物4人分(6kg)の乾燥時間は、通常の冷房環境(28℃/60%)の場合8時間が、サラウェル使用環境(28℃/32%)で5時間と、約4割時間短縮した。
常に湿度50%以下に保つため、カビ・ダニの繁殖も抑制できる。省エネに配慮し室温を必要以上に下げず省エネにも配慮し、湿度をコントロールすることで、快適な環境をつくる。エアコンの冷風や冷えすぎが苦手な人にも、快適な体感環境を作り出す。
ランニングコストは、一般的な換気システム(第3種換気システム+エアコン4台間欠運転)と比べ、サラウェル換気システムの場合、エアコン2台連続運転で快適な環境を創出できるため、エアコン2台分の運転が不要で、年間電気代を抑えられる。
熱中症対策、湿度制御が鍵
近年日本の夏の外気に含まれる水分量は増加傾向にあり、2001~04年と21~24年平均では26%増加しているという(積水ハウス調べ)。
熱中症予防の指標として使われる暑さ指数(WBGT)は、気温だけでなく湿度、日射や地面・建物からの熱の影響を取り入れて算出される。
同じ気温でも湿度が高いほど暑さ指数は上がり、身体への負担も大きい。室内熱中症への備えという観点からも、夏の住まいでは室温だけでなく、湿度にも目を向けた環境づくりが重要となっている。
積水ハウスの中山英彦執行役員R&D本部長は「熱中症は、約38%が屋内で発生する。WGBTへの影響度は、気温が1、輻射熱が2、残り7が湿度。暑さ対策は湿度をどうコントロールするかが最も重要となる」と話す。
パナソニック HVAC & CCの重弘耕良常務執行役員IAQ事業部長は「換気・空調で培ってきた技術を投入し、湿度を無駄なく、静かに、省エネで実現できるシステムを開発した。住宅性能は年々高度化しているが、断熱性能が高くても湿度の調整はできていなかった。積水ハウスと3年かけて共同開発し、家全体を除湿するという新発想のシステムに仕上がった」と話す。
サラウェル換気システムは「当社新築戸建住宅販売戸数全体の15~20%にあたる年間100世帯の販売目標で臨む。将来的には集合住宅など幅広く普及させたい」(積水ハウス・中山執行役員)と話す。











