2021.12.21 脱炭素を成長戦略にクリーンエネルギー戦略、経産省で検討始まる

会合では、主要国の政策動向などについても説明された

 脱炭素を産業の成長戦略につなげるための「クリーンエネルギー戦略」の策定に向けて、16日、経済産業省の審議会で議論が始まった。有識者らによる審議会の初会合が開かれ、約20人が参加した。

 エネルギーを起点とした産業のグリーントランスフォーメーション(GX)の加速を目的に、伸び行く産業への企業の投資を後押しするために必要な規制緩和などの方策について、検討を進めていく。

 岸田文雄首相は所信表明演説で、2050年カーボンニュートラル目標などを実現するため、温暖化対策を成長に結び付ける戦略の策定を表明。これを受けて経産省が「クリーンエネルギー戦略検討合同会合」(座長=白石隆熊本県立大学理事長)を設置した。

 初会合では冒頭、資源エネルギー庁の保坂伸長官が「これから生じるクリーンエネルギーを中心とした社会構造の転換、産業構造の転換などでは、それぞれ現実的かつ段階的な移行転換が求められている。産業構造の転換では需要サイドの各分野でのエネルギー転換を意識して議論していただきたい」と述べた。

 エネ庁側は、戦略を検討すべき背景を解説した。米IT大手アップルなどを典型例に挙げ、製造業でもサプライチェーン全体でカーボンニュートラルを目指す動きが出始めている点を指摘。「部品などのサプライヤーには大きなインパクトが生じている」と説明した。また、海外では「グリーン×デジタル」のスタートアップが続出していることなどに言及した。

 エネルギーアナリストの大場紀章委員は「サプライチェーン全体の中で、マネタイズポイントの変化が今、脱炭素の世界で起きている」と分析。「製造業は、少なく作ってたくさん使ってもらい、たくさん稼ぐというビジネスモデルに転換していくことを考える岐路に立っている」と意見を述べた。

 同会合では今後、産業界へのヒアリングなども実施しながら、22年6月ごろをめどに戦略の取りまとめを行う予定だ。