2021.12.24 太陽光パネル課税可決2年半の議論の末、岡山・美作市議会


 岡山県美作市が導入を検討してきた「事業用発電パネル税」について、同市議会は12月定例会で、太陽光パネルに面積に応じて地方税を課す条例制定案を賛成多数で可決した。2019年6月以降、2年以上かけて議会側で成立させた格好だ。ただ、地方自治体が独自に課税するためには、総務相の同意が必要で、今後、市は国と協議を進める。施行されれば、全国初になるという。

 同市の事業用発電パネル税は事業用の太陽光パネル1平方メートル当たり年50円を課税する。出力10kW以上の設備を対象とし、屋根上に設置している設備は除外するなどとした内容。定例会では、議長を除く議員17人のうち、12人が賛成し、反対は5人だった。

 19年6月議会で市側が提案して以来、「事業者への説明会が必要だ」といった理由から廃案や否決などが続いた。21年9月に、市側が、急な傾斜地や土砂災害の恐れなどがない平坦な地域は課税対象から除外するなどして条例案を修正し、3度目の提案がされた。同市税務課は「災害発生リスクが低い区域の低圧の物件については、免除した」とする。

 条例で課税対象となるのは市内の約280カ所で、年間約1億1000万円程度の税収を見込む。防災や環境保全の費用に充てる計画で、治水対策などに多くを費やす。5年毎に検討し直し、対策の必要がなくなったと判断されれば、課税を免除することもあるという。

 同市税務課は「太陽光パネルと市とが共生していくために、太陽光発電設備を建てることで生じる懸念や費用については、発電事業者に負担いただきたい。国の再生可能エネルギー普及の重要性は理解しており、施策を阻害する意図は全くない」と話す。

 市が条例で税を新設するには総務相と協議のうえ、同意が必要なため、課税は早くとも23年度からになるという。一方で市側は「(課税が)再エネ普及のブレーキになると国が判断すれば、総務相の同意は得られないと理解している」とも話している。

 太陽光発電協会(東京都港区)は「全国の自治体に波及する可能性」があるなどとして、課税について反対する意見を表明している。