2022.01.03 JUKI、外観検査(金属部品)事業に本格参入非マウンター/非SMT領域 ソリューション拡大

JUKIの金属部品を対象にした外観検査機「SE1000」

 JUKIは非実装領域の事業拡大の一環として、自動車などの金属部品の不良有無の検出や、寸法などを計測する外観検査機「SE1000」を昨年12月に発売、本格的に外観検査事業に参入した。

 同社の産業装置事業は実装機のほか、はんだ印刷機、プリント基板検査装置、自動倉庫などの自社製品との連携により、AGVなど実装ラインの装置をトータルでそろえ、表面実装ラインの高効率生産を実現する「JUKIスマートソリューション」により、グローバル市場で推進している。

 一方で、自動倉庫や検査装置の非マウンター/非SMT領域でのソリューション拡大を重点に取り組み、既に成果を上げつつある。その一環で2020年2月にノーベル賞受賞技術である「光コム」を製品化したXTIA社に出資するとともに、技術提携を行い「外観検査機」の技術革新に取り組んでいる。

 現在、自動車工場、機械工場などでは、人による目視検査や部品ごとの専用機を用いた外観検査が行われている。

 外観検査機SE1000は、自動車関連などの金属部品の不良の高速・高精度な検査を可能にし、人手の掛かる検査工程での脱技能化、省人化、効率化に貢献する。

 SE1000は汎用(はんよう)性に優れた高精度検査を実現する。同社独自の光学技術を応用した。1200万画素ハイフレームレートCMOSカメラを搭載し、高輝度白色三段LED照明と同軸照明を用いることで、鮮明な画像を撮像し、検査精度12マイクロメートルの高精度で対象物最大幅600×奥行き590×高さ300ミリメートルまでのさまざまな部品の検査を一台で可能にした。

 装置のベースとなるフレームは、鋳物を採用し、CAE(コンピューター支援解析)・モーダル解析、サーボ特性解析などのフレーム設計技術により、高剛性のフレームで光学ヘッドユニットの高速稼働を実現している。

 また、装置間のXY軸位置、照明輝度、ホワイトバランス、分解能などの補正技術により、装置の高い繰り返し精度を維持し、個体差のない「機差レス」を実現した。

 国内外を問わず、複数拠点、複数台数の装置でも、同一検査プログラムで一元管理が可能になる。

 検査対象物の高さに合わせて、カメラ高さが自動で可変するオプションの上下可変ヘッドユニットを装着することで、最適なフォーカスで撮像し、より高精度な外観検査が行える。キズの深さなどの検査が必要な箇所もまた、オプションのレーザー計測を追加することで詳細な検査が可能になる。

 照明、カメラ、演算ソフトウエアなど、ハード、ソフトの開発を含め、サプライチェーンの全てをJUKIグループ一貫体制で運用している。

 日本国内のほか、世界中の同社拠点で品質保証・メンテナンスなど安心して使用できるサポート体制を構築している。

 検査の用途により2D検査と3D検査を選択できる。また、1200万画素ハイフレームレートのCMOSカメラの採用や、高速演算回路などの使用により、高速検査を実現する。2D検査は0.25秒/FOV(Field of View=視野)、3D検査は0.7秒/FOV。

 プログラムの作成は、テンプレートとプロセスモードの2種類があり、テンプレートモードでは初心者でも、簡単にプログラムを作成することができる。

 価格は1780万円(消費税別)。