2022.01.14 【電子材料特集】各社の事業展開デクセリアルズ

新家 社長

「差異化技術製品」の採用が順調

 デクセリアルズは、技術トレンドに合致した高付加価値製品「差異化技術製品」の採用拡大などにより順調に業績を拡大している。

 同社は2021年に、19年度からスタートした中期経営計画「進化への挑戦」(5カ年)をリフレッシュし、最終年度の売上高・営業利益目標を大幅に上方修正した。さらに今年度中間決算発表時には今年度通期業績予想も増額修正した。

 21年6月には本店所在地を東京から栃木県下野市に移転。ガバナンス面でも監査等委員会設置会社に移行した。

 最近の動向について新家由久社長は、「足元ではコンシューマー関連の多くは前年同期比マイナスに転じているが、一方で当社の成長は世の中の技術トレンドに合致した製品の拡大にサポートされている。特に差異化技術製品の採用が拡大し、足元でも堅調に推移している」と話す。22年に向けた戦略は、「コロナ禍で多くの人々が社会全体の非効率さに気付いた。今後もデジタル化が進むことは確実で、これに対応する製品・技術を展開していく。修正後の今年度通期業績予想値は中計最終年度の23年度目標を上回るため、今後の2年は、次期中計や10年後を見据えた期間と捉えて事業を進める」(新家社長)とする。

 差異化技術製品は、LIBの安全性向上に寄与する「表面実装型ヒューズ」、ディスプレーやセンサーモジュール向けの「異方性導電膜(ACF)」「精密接合用樹脂」「反射防止フィルム」などの採用が順調に拡大している。加えて「蛍光体フィルム」も21年より垂直的に立ち上がった。

 新規領域展開では、自動車の次の成長領域も見据えた準備を始めている。社会課題解決に向けた技術ロードマップを策定し、技術課題の抽出などを進めている。「今後2年間をかけ、必要な技術、コラボレーションを含む成長戦略を立案し、それを次期中計に反映できるようにしたい」(新家社長)。

 設備投資では、本社・栃木事業所で、表面実装型ヒューズや反射防止フィルムの生産能力増強や生産性向上のための設備増強を推進中。

 ESGにも注力し、CO2排出量削減では当初の計画を前倒しできる見通し。アライアンスも選択肢の一つとして検討を進める。「今後も経営のスピードを上げることを重視する」(新家社長)。