2022.02.09 メタバースで生活や仕事を劇的に変革携帯電話各社が用途開拓で攻勢
アバターでにぎわう「バーチャル渋谷」(提供=KDDI)
個人がアバター(分身)となってインターネット上に構築した仮想空間「メタバース」に入り込み、遠く離れた人と交流したり共同作業を行ったりする―。携帯電話各社は、生活や仕事を劇的に変える可能性を秘めたメタバースの用途を開拓する取り組みを加速。アバターによる業務革新や都市と連動したメタバースなどで存在感を高めている。
例年であれば多彩な仮装で街がにぎわう秋のイベント「ハロウィーン」。新型コロナウイルス禍で迎えた2021年10月も一昨年に続き、KDDIなどが参画する「バーチャル渋谷」がにぎわった。仮想現実(VR)空間に街を再現した渋谷区公認の配信プラットフォームで、若者らが音楽ライブや買い物などを楽しんだ。
KDDIはこうした展開を通じて培ったノウハウを生かし、ユーザー目線のオープンな配信プラットフォームに進化させるシナリオを描く。事業創造本部ビジネスインキュベーション推進部の中馬和彦部長は、「自分自身で店を開いたり、ライブを催したりする世界へと拡張したい」と強調。都市と連動したメタバースを他の都市に横展開することにも意欲を示す。
一方、現実世界と仮想世界を融合させる各種技術の総称「XR(エクステンデットリアリティー)」の可能性を追求するのが、NTTドコモだ。エンターテインメント以外の領域にも注目し、働き方に変革をもたらす開発成果を発表した。
開発したのは、3次元(3D)のアバターを利用した遠隔接客システムだ。接客中のオペレーターの表情をウェブカメラで撮影し、仮想空間のオペレーター役のアバターへリアルタイムで伝送。顧客はVR機器やタブレット端末などを用いて接客を受けるという。
100兆円規模に成長すると期待が膨らむメタバース市場は、覇権争いの新たな主戦場となりつつある。米メタ(旧フェイスブック)や米マイクロソフトなどの大手テック企業が本腰を入れて参戦した。 日本勢は「群雄割拠」の様相を呈するメタバース市場で主導権を握ることができるか。高成長の果実を巡る競争が本番を迎える。