2022.02.15 石油エネルギーの行方、国内外の専門家ら議論国際パネルディスカッション

 世界的な石油価格高騰が国内に影響を与える中、エネルギーの世界情勢について議論する「第31回国際パネルディスカッション」が、オンラインで実施された。石油元売りのENEOSとグループのENEOS総研、日本エネルギー経済研究所の3者が共催。「これからの石油・エネルギー情勢をどう見るか」をテーマに、国内外の専門家らが現状や将来の方向性について意見を交わした。

 世界的なエネルギーを巡ってはコロナ禍からの経済回復に伴い石油需要が回復する一方、脱炭素の潮流や産油国が絡む地政学リスクの高まりなどにより、大きな変化のさなかにある。

 国際的な石油コンサルティング会社、FACTSグローバルエナジーグループのフェレイダン・フェシャラキ会長は、新型コロナの変異株オミクロンについて「懸念はあったが、今ではインパクトは小さい」と指摘。「来月3月には石油需要が2019年水準、つまりコロナ時の水準を超える」との見通しを述べた。

 高騰する油価は「需要というよりも供給側に大きく依存している。コロナ問題が生じたころは需要について懸念があったが、(主要産油国でつくる)OPECプラスが供給面でどう対応するのかが重要。今までのところは、うまくマネジメントしている」と分析。

 また、石油需要自体のピークにも言及し、「まだピークに至っておらず、これからも30年代半ばまでは増える。ピークは来るが、10年以上あとだ」と述べた。ESG投資などの影響は「供給側への圧力となるが、需要側は少なくとも30年代初頭までは極めて堅調だ」との見方を示した。

 一方、日本エネルギー経済研究所の小山堅専務理事首席研究員は、足元のエネルギー情勢を「石油も天然ガスもLNG(液化天然ガス)も極めて需給がタイトな状況になっている上に、地政学リスクが重なり、市場が揺さぶられ続けている」と語った。

 天然ガスやLNG市場はグローバル化が進み、「ある地域でのリスク要因が世界全体を動かしてしまう。その象徴がウクライナの問題だ」と指摘。ロシアと欧州はガスの輸出地と消費地という関係で、この構図がアジアのLNGや米国の天然ガスなどにも大きく影響を及ぼしているという。

 「グローバル化が進んだガス、LNGマーケットにおける地政学という新しい視点を考える必要がある」(小山研究員)と主張した。