2022.02.17 日立が「ジョブ型」人事への転換加速一般社員に拡大、春闘の論点に

春闘で要求書の提出に臨む日立製作所労働組合の半沢美幸・中央執行委員長(右)と日立の中畑英信執行役専務(提供=同社)

 日立製作所は17日、職務内容を明確化して最適な人材を配置する「ジョブ型」人事制度の導入対象を管理職から一般社員へと広げる具体的な計画を示した。7月以降に順次導入する。同制度を通じて組織や個人から意欲と能力を最大限に引き出し、自社の国際競争力向上につなげたい考えだ。同日から本格化した春季労使交渉(春闘)でも論点の一つになりそうだ。

 ジョブ型制度は、各ポストや各職種で求められる能力や知識、資格などを「ジョブディスクリプション(職務記述書)」に明記。これに当てはまる人材を年齢にかかわらず起用することが特徴だ。

 日立本体の社員数は約3万人。ジョブ型制度は、このうちの管理職を対象に昨年11月から順次導入。これまでに9500ポスト分の職務記述書を作成した。7月以降には、約2万人の一般社員を対象に個別の職務記述書を順次作成する計画だ。

 春闘では、ジョブ型への転換に向けた労使間の議論を深め、処遇制度の見直しなど、中期的な議題も取り上げたい考え。

 組織と個人の成長を狙ったジョブ型制度にシフトする背景には、デジタル化やグローバル化に象徴される事業環境の変化などがある。

 CHRO(最高人事責任者)を務める中畑英信執行役専務は同日、報道各社の共同取材に応じ、新卒一括採用や年功序列などを特徴とする従来の「メンバーシップ型」雇用システムに言及。「このパターンでやると社外から多様な人材が入りにくい。成長の達成に向けて組合と一緒に議論したい」と強調した。
(21日付の電波新聞と電波新聞デジタルで詳報します)