2022.03.09 【産業用ロボット特集】クラボウVMF技術、ロボット制御をセンサーに内包

ロボット制御+センサー技術で不定形物を追いかけてつかむことが可能

 クラボウは、ロボット制御技術をセンサーに内包したVMF(ビジュアル・モーション・フィードバック)技術に注力する。

 2020年に発売した高速3Dビジョンセンサー「クラセンス」はフラットケーブルや多芯ケーブル、光ケーブルなど不定形物の認識が可能。線状物を正確につかんで挿入するなど、自動化が遅れていた各種組み立て作業の効率改善に役立てられている。

 VMFは触覚ハンドとセンサーから構成される。対象物の上部に固定して使用するクラセンスに対し、VMFは目の役割を果たすカメラヘッド部と計測制御を担う画像処理部を分離。センサーをロボットのハンドに装着して、対象物を追随することが可能になった。

 搭載したFPGAのプログラムを自由に書き換えることで拡張性を担保しているのが特長だ。処理能力を高めて一層の高速制御を可能にしたり、人工知能(AI)を搭載して、ねじなどの微小な対象物を認識するなどの機能向上を図れる。

 センサー部は小型(100×40×40ミリメートル)で150グラムと軽量。設置制限をなくし、計測範囲が拡大した。奥行きの認識に優れた2眼ステレオカメラで3次元計測精度はプラスマイナス1ミリメートルを実現した。

 電子機器や車載機器の組み立て自動化をターゲットにする。ハーネスの組み込み、入荷時の受け入れ検査や出荷前検査のほか、車載用モーターの配線などでの用途を想定する。ラインの設計・組み換えに要する時間の短縮や、人手からの置き換えによるコストの削減などさまざまなニーズに応える。

 現在、さらに制御機能を高め、ハンドがつかんだ対象物の挿入まで行う技術を開発中だ。22年度上半期に発売予定で「2022国際ロボット展」ではリリース前の先行出品を行う。

 ブースでは、揺れ動くケーブルを追い掛けてつかむデモンストレーションを披露する。