2022.03.11 電機大手、相次ぎロシア事業を停止物流混乱などで事業継続が困難に
ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、大手電機メーカーがロシア事業を見合わせる動きが相次いでいる。日立製作所と三菱電機は物流の混乱などの影響を踏まえて総合的に判断し、ロシア事業を停止すると発表した。
日立は10日、ロシアへの輸出や製造拠点の稼働を順次停止すると発表した。市民生活に欠かせない電力設備は除く。「サプライチェーン(供給網)の混乱などを踏まえて総合的に判断した」という。
日立グループのロシア事業が2022年3月期連結売上収益(売上高に相当)見通しに占める割合は約0.5%。その過半は建設機械で、ストレージ(データ記憶装置)などのIT事業も手掛ける。現時点では、ウクライナやロシアの情勢変化による同期業績への大きな影響はないという。
日立の米IT子会社グローバルロジックは、ウクライナに五つの開発拠点を構え、約7200人の技術者が従事。同拠点の従業員とその家族は、安全を最優先にウクライナの安全地帯や他国への避難を進めている。遠隔地から業務を遂行でき、現時点では運営面で大きな影響は生じていないという。
三菱電機も物流などの情勢を踏まえて「事業の継続は困難」と判断し、製品の出荷を停止した。ロシアでは現地法人を通じて、ファクトリーオートメーション(工場自動化)機器や空調機器、パワー半導体を販売していた。同社は、現時点で「業績に大きな影響をもたらすものではない」としている。
日米欧は、世界の金融機関を結ぶ情報通信サービスの運営団体「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からロシアの一部銀行を排除すると決定。同社が出荷停止を決めた背景には、こうした金融制裁の影響もあるという。