2022.04.06 イーレックス、水素発電の実証運転開始国内初の商用化に向け

運転を始めた富士吉田水素発電所

 新電力のイーレックス(東京都中央区)は6日、山梨県富士吉田市で水素専焼の発電所の運転を開始した。小型の実証機だが、発電した電力の大半は売電される。水素燃料100%の発電が商業化されれば国内初となる。脱炭素社会に不可欠なエネルギーとされる水素を燃料にした発電は二酸化炭素(CO₂)を排出せず、期待も高い。

 運転を始めたのは、富士山を望める裾野にある「富士吉田水素発電所」。

 1時間当たり水素270立方メートルを燃料とし、発電出力は320kW。発電した電力の一部は設備での自家消費に充てるが、残りは売電していくという。

 水素の製造、販売を手がけるベンチャー、ハイドロゲンテクノロジー(東京都中央区)から燃料供給を受ける。同社は、独自の技術で、水を触媒にして、火山岩石由来の天然鉱石から水素を取り出せる。外部からの熱や電気をほとんど必要としないため、水素の製造過程でもCO₂を発生させない。

 今回の実証では、コスト低減が大きな目的の一つだ。検証を踏まえたうえで、両社の次のステップとして、1時間当たり水素1500立方メートルを燃料とする大型の実証設備を新設する検討を進める。