2022.04.12 東急不動産、バイオマス発電に参入鳥取で稼働、愛知で計画

運転を始めた米子バイオマス発電所

 太陽光や風力発電を広く手掛ける東急不動産が、バイオマス発電事業にも乗り出した。4日、中部電力などと出資する事業会社が「米子バイオマス発電所」(鳥取県米子市)を建設し、営業運転を始めたと発表した。発電出力は約5万4500kW。東急不動産グループとしては初のバイオマス発電だが、既に2件目となる計画を愛知県田原市で進めている。

 米子バイオマス発電所に参画するのはほかに中部電力、三菱HCキャピタル、バイオマス発電所の開発・運営のコンサルティングを手掛けるシンエネルギー開発(群馬県沼田市)、廃棄物収集事業の三光(鳥取県境港市)の計5社。東急不動産、中部電力、三菱HCキャピタルの3社が30%ずつ出資する。

 燃料は、主にベトナムなどアジアからの輸入材を利用し、木質ペレットやパームヤシ殻を活用する。国際的な認証を得たパームヤシ殻の調達に努める国内外の事業者と連携して、パームヤシ殻の発生場所や流通経路などの確認に取り組むという。

 発電所は1999年8月に着工。今月2日に営業運転を開始した。年間発電電力量は一般家庭約12・5万世帯分に相当する約3・9億kWhを想定している。再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)で売電する。

 また、既に田原市の臨海工業地帯において、伊藤忠商事や、九州電力グループの再エネ開発を担う九電みらいエナジーと共同で、事業運営会社「田原グリーンバイオマス」を設立。発電所の建設計画を進めている。

 計画では、発電所の発電容量は5万kW。輸入木質ペレットなどを燃料とし、伊藤忠商事が木質ペレットの長期供給を担う。

 年間発電量は一般家庭約11万世帯分に相当する約3億4000万kWhを計画。25年4月に運転開始の予定だ。

ポートフォリオ組み入れ

 東急不動産グループは太陽光や風力発電事業を全国各地で展開してきた。今回のバイオマス2件を含め、関係する事業は79件(開発中を含む、2月末時点)に及び、合計容量は一般家庭約52.8万世帯分に相当する容量1306MWに達する。1年間で二酸化炭素(CO₂)を約154万1000トン削減できる規模だという。

 東急不動産は「太陽光などは自然環境の影響を受けて変動する。一方で安定的に再エネを得られるバイオマスも、積極的にポートフォリオに組み込んでいきたい。条件がそろえば、新たな計画も検討する」としている。