2022.06.01 音波活用で魚群コントロールへ三菱電機が「海洋牧場」実現の技術

将来の「音波による魚群誘導技術」を用いた海洋牧場のイメージ(提供=同社)

 三菱電機は、魚の「聞こえ」の特性を活用し、音波で魚群を誘導する技術の研究開発を進めている。その一環で、魚の嫌がる音波で魚群を遠ざける技術を開発した。逆に、好みの音波で魚群を集める技術にも取り組んでいる。これらと、音波の方向をコントロールする技術を組み合わせ、漁網の要らない「海洋牧場」の実現への貢献を目指す。

 同じ調子で音を届けると慣れてしまって効き目が薄れるため、出力間隔を変化させることで、慣れを解消。また、魚群の敵になりそうな魚は近づけないようにする、といったことや、海苔や貝類の養殖場が魚に荒らされるという、陸上同様の「食害」を防ぐことにもつながりそうだ。

  日本の水産業は、地球温暖化などの影響による水産資源減少や、漁業従事者の減少と高齢化などの課題に直面している。2018年の水産物生産量は、1984年の約3分の1に減少している。解決策の一つとして、海全体を牧場に見立てる海洋牧場が注目されている。今後も、ロボティクスを含め、1次産業の課題に技術で取り組む動きが広がりそうだ。
 (2日の電波新聞・電波新聞デジタルで詳報予定です)