2022.06.02 災害時に再エネで運用 「分散型」めざすマイクログリッド各地で実証、電機業界も参画
開閉器(スイッチ)を操作するスタッフ=神奈川県小田原市
再生可能エネルギーなどを一定地域で有効に使い、大規模停電時は独立運用を図る。そうした「地域マイクログリッド(MG)」の取り組みが広がり始めている。マイクロ(極小地域)でのグリッド(送電網)運用を図るもので、経産省の補助を受けて2020年度に始まった2地域で構築が完了。国内の複数地域でも態勢作りが進む。先月下旬には、国内初のタイプの実証実験も行われた。
さきがけの一つは、神奈川県小田原市。実証の場は、アスレチックもある山あいの公園施設一帯。実験では、電力会社の送配電網での運用が確認された。一見、簡単にも思えて、実際は「関係者間の調整や設備の健全性確認など、クリアするべき課題も多い」という。停電復旧後の通電時に火災など事故が起きる例もある。そうしたソフト・ハードの課題を今回、確認した形だ。
ほぼ同時期に実験をしたのは、もう一つの先行地域である沖縄県宮古島市。有数の観光地ながら「台風銀座」とあって、特に離島では停電後の復旧が遅れがち。そんな島の一つ、来間島では、住宅エリア全体をカバーする形で運用が進んでいる。
現状は補助制度の後押しで普及している形で、コストや需要家への対応など課題は多い。それを踏まえつつ、「再エネの利点を市民に分かりやすく実感してもらう上でも、災害対応は重要な視点」(小田原市)なだけに、分散型電源の普及後押しへ、自治体や民間の関心も高い。(3日付電波新聞デジタル・電波新聞デジタルで詳報します)