2022.06.16 日本電子が東北大にクライオ電子顕微鏡提供有機半導体の材料開発で応用期待

クライオ電子顕微鏡「CRYO ARM300Ⅱ」(JEM-3300)

 日本電子はこのほど、新型のクライオ電子顕微鏡を東北大学多元物質科学研究所に提供した。

 「CRYO ARM300Ⅱ」(JEM-3300)はタンパク質などを瞬間的に凍結させて構造を保ったまま観察できる。

 マイナス196度以下の液体窒素で冷却することで、電子線の照射による試料の損傷を大幅に低減できるのが特長だ。ウイルスやたんぱく質のような柔らかい試料は電子線を当てると壊れてしまうのが難点だった。

 エネルギー幅が小さく、長時間安定した電子ビームを作り出して高品質の画像を得ることができる新開発の電子銃を搭載した。

 AI(人工知能)制御の自動データ収集システムも実装し、撮影の失敗を減らして大幅な効率化が実現した。

 今後期待されるのは材料分野への応用だ。

 有機薄膜型太陽電池や有機ELディスプレー、伸縮性が求められるウエアラブルディスプレーなど有機半導体の新材料開発で利用が期待される。

 オリックス・レンテックのレンタルプランを活用して導入され、今月から学内外に共用されている。

(17日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)