2022.06.29 【通信・放送Week特集】ミハル通信8K極超低遅延を体感、「ELL8K」で映像伝送デモ

8K HEVCエンコーダー「ELL8K」

 ミハル通信は、「第5回4K・8K映像技術展」で、さらに進化した8K極超低遅延映像圧縮伝送システム「ELL(エル)8K」による8K映像伝送デモを行い、極超低遅延を用いた新しい映像ソリューションを紹介する。

 今年は、8Kカメラの映像を直接伝送した8K映像とELL8Kでエンコード/デコードした8K映像を比較するデモを行い、ELL8Kシステムが実現する超低遅延を体感できる。

 映像伝送における遅延ではカメラやテレビの性能やほかの機器の影響もあるが、今回は同社の技術によって、より低遅延を実現できることをコンセプトにしている。

 ブースでは、8K映像をエンコードからデコードまでのコーデック部分でわずか約30ミリ秒の超低遅延の実現や、映像の撮影からテレビで届けるまでの「グラスtoグラス」での100ミリ秒(0.1秒)を切る時間での伝送ができることを訴求している。

 ELL8Kシステムは、コーデック遅延を30ミリ秒以下に抑えることが実現可能な点や非圧縮のPCMデジタルオーディオを最大64ch伝送、複数拠点向けにマルチキャスト配信が可能な特長を持つ。

 高精細な映像を遅延なく伝送する技術に注力している同社は今回、映像伝送の遅延時間を減らすために、使用しているエンコーダー/デコーダーのモジュールに必要な映像フォーマット変換の最適化も行い、可能な限り遅延をなくした機器の再編成を行った。

 同社は、2018年から同8Kエンコーダーの開発に着手し、さまざまな実証実験に参加し、その性能の高さを実証してきた。同社は「データ容量が大きい8K映像伝送では遅延時間が長いのが課題だった。その課題をELL8Kで解決できる。これまでいろいろな業界から問い合わせが来ている」とアピールしている。

 今後さらに、さまざまな産業分野でELL8Kによる新しいアプリケーションが期待されている中、昨年には汎用(はんよう)的なNTTフレッツ光回線を使った実証実験も多様な分野で実現し、好評を得ている。

 8Kシステムの普及のために、同社は製品の販売強化とともに、スポーツや音楽のライブイベントなどにおいて、スポットレンタルサービスとしても提供を考えているとした。

 一方、伝送需要が拡大している4Kシステムも開発中だ。今回、4K超低遅延映像圧縮伝送システム「ELL Lite」も参考展示し、伝送前と伝送後のデモを行う。

 4月から開発を始めた同システムは仕様検討の段階だが、他社にはない機能を搭載するなど、ユーザーの目線から、使い勝手の良い製品開発にこだわりたいと強調。来年3月の開発完了を目指す。

 同社は今回、来場者にヒアリングをして、需要が高そうな機能を搭載して製品化を目指したいとしている。