2022.07.01 【家電総合特集】パナソニック松下理一常務執行役員くらしアプライアンス社社長

外資系メーカーと品揃えなどで差別化

お客に刺さる商品を創出する

 日本市場は、インフレが進み弱含みで推移しそうだが、中国・アジア市場は成長の見通しで、経営リスクはあるものの、年間を通して全体として増販できそうだ。

 原材料・物流費の高騰や為替の問題、特に元に対する円安など外部環境悪化によって、収益では400億円程度のマイナス影響を今期見込むが、430億円の打ち返し策で通期の増益を狙う。

 打ち返しの半分は国内・海外における価格・流通施策や営業費用見直しなど営業施策で、残りは調達の見直し、ECM(エンジニアリングチェーンマネジメント)改革による商品開発の見直し、固定費削減といった取り組みにより、調整後営業利益は650億円を目指す。

 足元の状況は、第1四半期で上海ロックダウンの影響は大きかった。上海の電子レンジ工場はようやく稼働を始めており、正常に戻るのはもう少しかかる見通しだ。

 こうした中でドラム式洗濯乾燥機は、供給が回復してきており、想定以上の販売ができた。またセパレート型コードレス掃除機、新色ホワイトを追加したオーブントースター「ビストロ」、スリムタイプの卓上型食器洗い乾燥機、さらに理美容関連では「ラムダッシュ」6枚刃シリーズ、ナノケアドライヤーなど好調な商品もあった。

 中でもスリム型食洗機は、サブスクでの提供も開始しており、思ったより利用が多く、普及のハードルを下げることができた。まずは使ってみて、食洗機の便利さや節水性、高温洗浄による清潔性など、良さを分かっていただけ、満足度も高い。

 下期に向けては、国内市場で主要商品の大半で高いシェアを持っており、まだまだしっかり需要を獲得していきたい。

 外資系メーカーの参入が増加する中、日系メーカーに対する信頼感が逆に高まってきていることもあり、総合的な品ぞろえ、品質、充実したサービス網を差別化に、まだまだ伸ばしていく。

 国内の市場は、人口減少の中にあっても世帯数は大きく減少しておらず、また共働き世帯は増加しており、新たな需要の開拓、プレミアム商品の強化など多様化するニーズに対応し、商品戦略を強化していきたい。

 高齢化をはじめ生活が多様化する中、いま進めているME(マイクロエンタープライズ)制でのモノづくりの中から、顧客ニーズに応える新たなカテゴリー商品も23~24年度に向け開発し、お客さまに刺さる商品を創出していく。

 さらにオペレーション力を総合的に高め、市場ニーズに迅速な対応を図る効率的な生産ラインの構築にも取り組み、リードタイムをさらに短縮していく。

 既に6月から、ドラム式洗濯乾燥機を生産する袋井拠点(静岡工場)では、新たなラインを稼働させており、SCMを意識して源泉から完成まで一気通貫でフレキシブルに生産できる体制を構築した。品薄でご迷惑をお掛けしていたが、今後フルスイングで供給できるようにした。