2022.07.06 【「JECA FAIR2022」製品コンクール特集】50社から13製品が受賞
3年ぶりに開催した「JECA FAIR2022」。約7万人が来場
日本電設工業協会主催の総合展示会「JECA FAIR2022~第70回電設工業展~」が6月1~3日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された(オンライン展示会は7月29日まで)。
前回から3年ぶりの開催で202社・団体が出展した。70回目の記念開催となる今回のテーマは「〝脱炭素〟へのチャレンジ 電設技術が未来(地球)を守る」。
電気設備現場の省力化や生産性の向上に資する製品・技術が多数出展され、会期中、約7万人が会場を訪れた。
特別催事の製品コンクールは今回で61回を迎えた。電気設備に関連する資機材の進歩改良を促進し、電気設備技術の向上と電気保安の確保が目的で行われている。
50社が参加。審査委員会が技術的観点や社会的貢献度、着想、将来性や市場性などの点で審査・選考した。6月15日の表彰委員会で13製品の受賞製品が決定した。
中小企業庁長官賞を受けた共立電気計器のマルチファンクションテスター「KEW 6514BT」は、EV(電気自動車)の普通充電器を評価する測定器。専用アダプターで車両の動作を模擬して試験できる。
三和電気計器は、東京都立産業技術研究センター理事長賞を受賞。接近センサー「SN301」は、人体電位を測定して、ヘルメットに取り付けるだけであらゆる方位から高圧交流電源への接近を検知する。
製品コンクール表彰式は7月7日、午後4時からホテルグランドアーク半蔵門(東京都千代田区)で開催される。
中小企業庁長官賞・マルチファンクションテスター「KEW 6514BT」
共立電気計器、EV普通充電器を試験
EV(電気自動車)の普及のためには、充電インフラの早急な整備が不可欠だ。
30分程度で充電できる急速充電器は継ぎ足しや緊急充電用途で、主に高速道路や商業施設に設置されている。それに対し、充電に数時間かかる普通充電器は戸建て住宅やマンションの駐車場などに置かれる。急速充電器に比べ設備工事費は比較的安価で設置数も多い。
共立電気計器のマルチファンクションテスター「KEW 6514BT」は、普通充電設備の電気試験に対応する。「KEW 8601専用アダプター」とのセットで使用する。
EV充電器の試験は通常、車両が接続された状態で実施する。KEW 8601専用アダプターは車両の動作を模擬するため実際に車両を用意しなくても試験できる。
充電の際は、車両と充電器の間で通信をして制御をする。KEW 8601を充電設備につなげ、制御信号を通して「スタンドに未接続」「接続」「充電」などの車両動作をシミュレーションできる。
KEW 6514BTは、電圧や絶縁抵抗、接地抵抗、漏電遮断器、検相など電気設備の試験に必要な各機能を搭載。KEW 8601専用アダプターと接続することで、やり取りされる制御信号から車両が充電可能な状態か、充電制御が適切に行われているか、などEV設備独自の試験に対応できる。
例えば、リリース(ロック)ボタンの動作確認。ボタンのオンオフで抵抗値が変化するため、抵抗値が変わらなければ動作不良と判別可能だ。充電ケーブル自体の絶縁測定も簡単に行える。
制御信号のデューティー比(オンオフの割合)から定格電流の設定が適正かどうかの確認もできる。
EVメーカー、充電設備設置業者が試験器の想定ユーザー。EV充電設備の試験仕様は今後整備されていくと見られ、EVの普及に伴い充電器の保守メンテナンス業者にも需要が生じると見込んでいる。
JECA FAIRには参考出品。来年の商品化を目指す。
東京都立産業技術研究センター理事長賞・接近センサー「SN301」
三和電気計器、人体電位で高圧源検知
活線警報器は、送電線など電気設備での作業時、高圧充電部に近づくと警報で感電の危険性を知らせる。
多くの現場では部分停電で作業するため、人為的なミスが発生しやすい。感電事故をいかに防ぐかが課題となっている。
三和電気計器の接近センサー「SN301」(6.6kV架空配電線用)は、ヘルメットに取り付けるだけで全方位から高圧交流電源への接近を検知することができる。人体電位を測定するのが特長だ。
一般的な活線警報器はセンサー部を充電部に近づけると電圧を検知して発報する。右手に装着した場合は左手を充電部に近づけても反応しないため、死角が存在するのが難点だった。
特に背面側の検知は困難。全身を感電から守るには頭部や両足など複数箇所に警報器を装着する必要があった。
SN301は、電源に接近すると人体に生じる電圧(人体電位)が上昇する点に着目した。
アースと人体との間の電圧を測定することで充電部への接近を検出。装置本体を充電部に近づける必要がない。ヘルメットにSN301を1個装着するだけで、電源に接近すると人体全ての部位が反応する。
センサー部を電源側に向けなくても検知できるため、本体から離れていても検出する。絶縁手袋や安全靴を身に付けていても反応する。
約140センチメートルで「注意」、約70センチメートルで「警告」と接近距離に応じて2種の警報を発する。
現場で多く使用されているタイプのヘルメット(アメリカン型、MP型)に取り付け可能だ。
電柱など架空配電線や送電線、高所作業車での作業など交流6.6kVの高圧充電部の検知に対応する。
関電工との共同開発品。7月11日に発売予定で、既に電力会社や大手サブコンなど全国から問い合わせが来ているという。
今後、キュービクルや変電所・発電所、鉄道架線など要望の多い特別高圧電力向け対応機種を順次発売する。