2022.07.08 【電子部品技術総合特集】ホシデン中井保夫執行役員技術本部長兼研究開発担当

中井 執行役員

開発スキームに横串、異分野同士で意見交換促進

 ホシデンは、コアテクノロジーに基づく製品開発にとどまらず、有望視する市場に向けて「将来必要となる製品は何か」という視点から新技術の創出にも注力する。

 中井保夫執行役員技術本部長兼研究開発担当は「ホシデングループ全技術の取りまとめ・棚卸し・データベース化の枠組みの策定が一段落した。今期からは利活用するステージに入る。各技術部門で縦割りになっていた開発スキームに横串を通すことで、異分野のエンジニア同士の意見交換を促し、新たなイノベーションを生み出す」と話す。

 主なターゲットは①次世代自動車・運搬。高速伝送用コネクター、タッチパネル、音響製品など、既存製品の延長上にある開発品に取り組みつつ、大電流や多連のコネクター、急速充電、大電力無接点充電、EV用電源など、新製品群の開発も行い事業領域を拡大する。

 ②医療・健康・介護・衛生の各機器。機器の汚損対策や防水性確保に有用な接点レスコネクターや超小型無接点給電モジュールを開発、提案。得意のフィルム加工技術を活用した生体センサーの研究開発にも注力する。

 ③産業機器(DX・ロボット)。従来の産業機器向けIoTモジュールに加え、コネクターの堅牢(けんろう)化や大電流対応製品を拡充。産業機器市場へ本格進出を図る。

 ④通信機器(5G・6G)。既存のアクティブ・オプティカル・ケーブル(AOC)の活用や、カスタムAOCを開発。5Gの全通信レイヤーで光伝送化されていない伝送路のAOCへの置き換えを提案。Beyond5Gに向けた研究開発にも力を入れる。

 ⑤メタバース・AR・VR。超高帯域指向性マイクや振動アクチュエーターのほか、眼電位測定モジュールや超小型無接点給電モジュールなど、メタバース端末用ユニット製品の開発に取り組む。

 外部との連携もペロブスカイト太陽電池をはじめ、各種センサー、材料など、幅広い分野で最先端技術の習得、活用を進めている。ペロブスカイト太陽電池活用の機器省エネ化サポート、バッテリーの長寿命化、電池レス化、新規エコ材料開発など、脱炭素化に向けた研究開発にも注力する。早期に技術中期計画を策定し、5年内の目標達成、変革を目指す。