2022.08.10 芙蓉ディベロップメントが「健康寿命延伸住宅」IoTやAI活用で健康維持

バイタル測定で住む人の健康維持に貢献

科学的根拠の重要性を述べる前田社長科学的根拠の重要性を述べる前田社長

専用アプリでバイタルなど指標を可視化

 IoTや人工知能(AI)を活用して、住む人の健康寿命を科学的に延ばす。そんな住宅の開発を進めていた芙蓉ディベロップメント(福岡市博多区)が1日、「健康寿命延伸住宅」の販売を始めた。病気の早期発見や疾患予防、健康的な生活習慣への行動変容につながるとして提案を進める。

 専用アプリでは、ヘルスケアコアシステムで測定した、体温や血圧などのバイタルを基に、AIが健康リスクを判定して赤、黄、緑の3段階で表示。病気や健康上の異常を早期発見でき、「健康上の問題で制限されることなく日常生活を送れる期間」である健康寿命の延伸に寄与する。

エアコンとも連動

 アプリはパナソニックのAiSEGなどとも連携し、エアコンで室内の温度や湿度をコントロールして高血圧などの予防につなげるほか、成果の「見える化」で健康的な食事や運動の習慣化なども促す。

 また、最適な温熱環境を作る断熱材や高性能サッシ、第1種換気システムを採用した。エアコンによる制御と合わせて高気密・高断熱を実現する。

 国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業」にも採択され、パナソニックビルダーズグループや慶応義塾大学の伊香賀俊治教授らと共同で研究・開発を推進してきた。70棟での検証の結果、心不全の早期検知や血圧低下などが確認でき、販売に至った。

 「これまでの〝健康住宅〟はイメージ先行型のものばかりで、エビデンスに基づいた商品はほとんどなかった」。7月25日に福岡市で開かれた発表会で、前田俊輔社長はこう強調した。一般的な健康住宅は、高気密・高断熱や自然素材使用をうたったものでも室内の温度や湿度のチェックはなく、実際の身体への影響などを事後に計測するものも少ないという。

 前田社長は「住宅の強さは構造計算という指標で可視化されるが、住宅内での健康もバイタルなどの指標で可視化できる」と力を込めた。

 芙蓉グループでは医療や介護部門も運営しているほか、健康管理システム「安診ネット One」などの開発も手掛けており、臨床研究からシステム開発、住宅までをワンストップで行える強みを生かす。当面は九州を中心に販売を進めていく。