2022.08.15 ノベルクリスタルテクノロジー 量産体制急ぐ酸化ガリウム基板製造からエピ成膜、デバイス開発まで

NCT本社

エピ成長を行うクリーンルーム。エピ成膜装置の増設を予定するエピ成長を行うクリーンルーム。エピ成膜装置の増設を予定する

 ノベルクリスタルテクノロジー(NCT)は、新材料の酸化ガリウム(Ga203)を使った基板の製造・開発を手掛ける。

 材料物性に優れる酸化ガリウムがパワーデバイスに広く適用されるには低コスト化が必須。成長速度や加工容易性などの優位性に加え、装置の独自開発などで量産体制の構築を急ぐ。

 埼玉県狭山市の本社工場では、バルク結晶・基板製造、エピウエハー成長を担い、デバイスの製造はファウンドリー(生産受託会社)に委託する。

 結晶・基板製造とエピ工程を含めて本社の製造スタッフは約20人。研究開発人員もほぼ同数で、製造開発の体制強化を進めている。

 NCTが手掛けるベータ型酸化ガリウムはシリコンと同じ融液成長法で結晶成長が図れる。強みはその成長速度だ。
SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)はガスを導入する気相成長法を用い、1時間当たりの成長速度は数百マイクロメートル。融液成長法の場合は同数十ミリメートルで育成でき、この高速化が低コスト生産の実現に寄与する。

 極度に硬いため特殊な機械が必要なSiCに比べて、酸化ガリウムは軟らかく、加工が容易。そのためスライスや研磨など酸化ガリウム基板の加工にはシリコン製ウエハー用の汎用的な装置を活用できるのも低コスト性の点で大きい。

 NCTでは高純度な成膜のためエピ成長を自社で実施。HVPE法(ハライド気相成長)を用いたエピ成膜装置の実用化を進める。金属塩化物を使用した成膜法で、原料コストの低減が期待できる。

 一度に多数枚成膜できる装置を開発中で、6インチでの多数枚対応の装置も大陽日酸と共同開発している。枚葉式装置の導入は4インチ用が23年度、6インチ用は25年度を予定する。

 (16日付電波新聞/電波新聞デジタルで詳報します)