2022.08.25 【化学材料特集】ランクセスグループで気候保護プロジェクト
新しい亜酸化窒素還元プラント
ランクセスは、ドイツの大手特殊化学品メーカー。エンジニアリングプラスチック(エンプラ)、中間体、難燃剤など多様な製品を供給しており、幅広い産業分野の発展に貢献している。
難燃剤を含む添加剤事業は、ポリマーアディティブス・ビジネスユニット(BU)が管轄。同BUは①臭素系難燃剤②プラスチック添加剤③機能性色剤-を扱うビジネスライン(BL)で構成され、主に電機・電子、自動車、建築分野に製品を供給している。
用途に応じて臭素系・リン系含め、幅広い難燃剤を提供することが可能で、特に臭素系ではポリマー系難燃剤と反応性難燃剤を取りそろえる。ポリマー系難燃剤は、臭素系難燃剤の中でも含有化学物質が動植物に取り込まれにくい。環境に配慮した持続性ある製品の開発を進め、さらなる事業拡大を図る。
同社は現在、2040年までにクライメイト・ニュートラル(気候中立)を達成することを目指し、気候保護プロジェクトに取り組んでいる。
昨年2月、ベルギー・アントワープの製造拠点で亜酸化窒素還元プラントの稼働を開始。同プラントでは年間約500トンの亜酸化窒素を分解し、CO₂換算排出量を年間15万㌧削減する。23年に操業開始を予定している第2プラントでは、CO₂換算で30万トン相当の削減が見込まれる。
同プラントのほか、インドの複数拠点ではエネルギー供給を全て再生可能エネルギーに切り替えるなど、ランクセスグループとしてさまざまな気候保護プロジェクトを推進している。ドイツの主要生産拠点では石炭を使用したエネルギー供給を段階的に廃止する予定。現行の製造プロセスの多くを見直しており、工場間の熱交換や空気清浄に関するものなど改良を継続している。
気候変動のみならず、各国政府による化学物質規制の動きにも注視する。規制に関する情報があれば詳細について確認する。同社では多種多様な製品を有しているため、代替品の提案も可能だ。顧客にとっては規制対象となる可能性がある製品を長期的に使うのはリスク。同社の豊富なポートフォリオを生かし、顧客のリスク回避につなげる。