2022.08.30 【ソリューションプロバイダー特集】働き方改革コロナ禍3年目で進化続ける、IT・通信大手が柔軟・多様性を追求
島根県松江市でのワーケーションの様子(提供=富士通)
新型コロナウイルスの感染拡大が始まって3年目。コロナ禍を機に一気に浸透したニューノーマル(新しい日常)時代の働き方はさらなる進化を遂げようとしている。IT・通信大手は柔軟で多様な働き方の実現に向けてアクセルを踏み込み、全国のどこからでもリモートワークが行える勤務制度を試験的に始める企業も現れた。オフィス勤務とリモートワークを組み合わせた「ハイブリッド型」の可能性を追求する動きも見られ、変革期を主導する各社の存在感は一段と高まりそうだ。
「社員がこだわりと関心を持って顧客サービスの品質を絶えず上げていく会社にしたい」。NTTの島田明・新社長は6月に東京都内で就任会見を開き、働き方改革をサービスの向上につなげる決意を表明した。
7月から始動させたのは、国内ならどこでも自由に住んでリモートワークを行える制度「リモートスタンダード」。勤務場所は社員の自宅とし、リモートワークが可能な部署で働くグループ会社の約3万人を対象に1日から運用を始めた。転勤や単身赴任を伴わない働き方を拡大し、社員の意欲向上につなげる。出社する場合の交通費は全額支給し、航空機での通勤も認める。
伊藤忠テクノソリューションズは単体の全社員を対象に7月、新たなリモートワーク制度を試験的に採用した。9月までの試行期間中に新制度が業務に与える影響について多面的に検証する計画。既に数多くの従業員から申請があり、利用も始まっているという。人事部の担当者は「エンゲージメント(会社の成長に貢献する意欲)の向上や人材獲得時の競争力向上にもつなげたい」と力を込めた。
ハイブリッド型
いち早くオフィスでの働き方を見直し、生産性を高める「働き方変革」を進めてきた内田洋行は、昨年から出勤とテレワークを組み合わせるハイブリッドワークを打ち出している。今年4月からハイブリッドワークが実現できる「スマートオフィスナビゲーター」を発売し、社員の働き方を可視化し場所を気にせずに業務できる環境支援をしている。引き合いも多く導入実績も出てきている。
一方、富士通も柔軟で多様な働き方を実践している。2020年夏から家族の事情などに配慮し、通勤圏外の住居からの遠隔勤務を認めた。昨年以降、仕事と余暇を両立するワーケーションや副業も推奨している。
自治体の支援も
時代を先取りした働き方改革の実践や顧客との共創を通じて蓄積したノウハウを生かし、自治体の業務支援に注力し始めたのがNECネッツエスアイ。自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する多彩なソリューションを集めた「パブリックDXショーケース」を東京都中央区の日本橋イノベーションベースに設置し、7月に受け入れを始めた。同拠点を通じて、職員の働き方改革も後押しする。