2022.09.01 インフィニオンのCoolSiC製品台湾・デルタ電子が採用

CoolSiC MOSFET Easy 1B

 ドイツのインフィニオンテクノロジーズのCoolSiC製品が、台湾のデルタ電子に採用され、グリーン電力によるエネルギー転換とカーボンニュートラルに向けて大きく前進した。デルタ電子は、太陽光発電、蓄電、電気自動車(EV)充電の三つを統合したハイブリッド3in1システムである双方向インバーターの開発に成功し、EVを家庭用緊急バックアップ電源にすることを実現した。

 インフィニオンの1200V M1H CoolSiC EasyPACK 1Bモジュールと1200V CoolSiC D²PAK 7-pin(表面実装デバイス)を採用した双方向インバーターは、EVや家庭用バッテリーを充電するための電力を供給しながら、不慮の停電時のバックアップ電源や高効率のグリーンエネルギー制御の中核として利用できる。三つのアプリケーションを統合した画期的な3in1システムはわずか425×865×160立方ミリメートルのコンパクトなサイズを実現している。約10kWの出力で、最大34Aの連続電流の導通を可能にし、97.5%以上のピーク効率を達成した。

 3in1システムを構築するために不可欠な要素の一つである、NTC温度センサーとPressFITコンタクト技術を統合した1200 M1H CoolSiC EasyPACK 1Bモジュール(F4-23MR12W1M1_B11)が最大限の柔軟性と高電流密度を提供する。

 クラス最高のパッケージ技術とCoolSiC MOSFETの組み合わせによる、スイッチング損失と導通損失を最小限に抑えた低インダクタンス設計が特徴。さらに、顧客側で高スイッチング周波数で駆動できるため、より小型なシステム設計が可能になる。EasyPACKモジュールは、開発期間を最適化し、顧客の総コスト削減に役立つ。

 このシステムにはほかにも、CoolMOS C7およびTRENCHSTOP 5 IGBT技術を使用したデバイスなど、インフィニオンのいくつかのコンポーネントが採用されている。さらに、表面実装デバイス(SMD)パッケージであるD²PAK 7ピンの1200V CoolSiC MOSFET(IMBG120R350M1H)もこのシステムの一部となっている。このデバイスは、クラス最高の熱特性を実現する.XT相互接合技術、およびケルビンソース端子を採用。MOSFETの非常に低いスイッチング損失で、システムの効率を向上させる。

 このMOSFETは短絡耐量3μsで、完全なスルーレート(dV/dt)制御と4.5Vの基準ゲート閾値(いきち)電圧(VGS(th))という特性を持っている。また、寄生ターンオンにも強く、ターンオフ電圧は0Vで動作可能。さらに、このMOSFETはハードスイッチングを可能にする堅ろうなボディー ダイオードを内蔵している。パッケージの沿面距離と空間距離は6.1ミリメートル。さらに、SMDパッケージにより、ヒートシンクの追加なしで、自然空冷のPCBに直接統合できる。