2022.09.06 【石油暖房機特集】素早い点火と高い暖房能力で石油ファンヒーター人気
寒冷地の冬場に欠かせない石油暖房機
冬場に欠かせない暖房機器。エアコンの暖房能力も向上してはいるものの、北海道や東北地方といった寒冷地では、高い暖房能力と素早い点火が支持され、依然として石油ファンヒーターの人気が高い。寒冷地の家電量販店では毎シーズン、石油ファンヒーターの売り場づくりに力を入れる。今冬の暖房シーズンに向け、メーカー各社から石油ファンヒーターなど暖房機の新製品が発売されている。
石油暖房機は季節商品のため、気候の影響を大きく受ける。日本ガス石油機器工業会(JGKA)によると、2021年度の国内出荷実績は、石油ストーブが94万9000台(前期比100・6%)、家庭用石油ファンヒーターが170万2000台(同91・1%)だった。
22年度の「ガス石油機器の出荷実績見込みと予測」は、ロックダウンの影響で部品の供給が不安定なイレギュラーな状況となったことから、例年通りの需要予測ができないとして、実施しないことになった。
JGKAは、経年劣化の観点から石油暖房機の買い替え時期を8年と定め、ホームページ(HP)を通じて安全点検や買い替えの検討を勧めている。
コロナ禍で在宅時間が長くなったことで、自宅の環境をより快適にしようとこだわりを持って家電製品を選択する人が増えた。こうした状況を受け、コロナやトヨトミなどの石油暖房機の専業メーカーは、機能だけでなく、デザインにもこだわった石油暖房機の開発に力を注いでいる。
各製品をエンドユーザーに向けてアピールすることも重要となる。人々の生活に密着する石油暖房機の特徴を生かし、レトロな魅力を発信していく。
コロナは、他企業とコラボレーションし、SNSを活用することで広く製品の魅力を伝えている。
住まいとインテリアのSNSメディア「RoomClip」内にコロナ公式アカウント「CORONAショールーム」を開設。パワフルに部屋を暖める石油ファンヒーターや、電源不要で災害時にも便利な石油ストーブといった同社製品の写真を投稿している。インテリアやさまざまな生活シーンになじむ様子を伝える。
中でも、レトロな見た目が特徴的なポータブル石油ストーブの「SLシリーズ」が注目されている。SNSユーザーにも、同社製品を使用する様子の投稿を求め、おしゃれな住空間を双方向で発信する。
トヨトミは、新しいトヨトミに出会えるウェブマガジン「トヨトミーツ」を公式HPに掲載している。
トヨトミーツでは、カフェや自動車販売店を取材。店舗の紹介とともに、そこで使用されている同社製品を取り上げ、写真を添えてユーザー目線で製品の魅力を伝えている。
機能面では、電気代の高騰などから、省エネ設計が人気を集める。そのほか、停電時でも使えるように低出力のポータブル電源対応の石油ファンヒーターなども製品化されている。エアコン暖房が広がりを見せる中、石油暖房機ならではの機能を付加し、安定して使えるよう工夫が凝らされている。
経済産業省資源エネルギー庁の新エネルギー基本計画では、50年にカーボンニュートラルの達成、30年度には温室効果ガス排出量を13年度比で46%削減する目標が掲げられている。水素・バイオ燃料・合成ガス・合成燃料などの新燃料を使用する製品の開発も各社で進む。