2022.09.26 【九州・山口産業特集】九州・山口で活躍する企業・団体の事業戦略 長府工産
伊奈 社長
トライブリッド蓄電システムの専用モデルを販売
太陽光と蓄電池、EV連携
蓄電池とV2Hに力を入れている長府工産(山口県下関市)は、ニチコンのトライブリッド蓄電システムの長府工産専用モデル「Lib Tower Plus」を今月から販売開始している。
家庭用蓄電システムのLib Tower Plusは、太陽光発電システムと蓄電池、電気自動車(EV)を効率よく連携し、家庭で作ったエネルギーを有効活用する。
連系出力5.9kW、自立出力5.9kVAの高出力と全負荷200Vを標準装備したパワーコンディショナーと、太陽光発電量や充放電量が見やすい室内リモコン、容量を7.4kWh、14.9kWhの2種類から選べる蓄電池ユニットにEVを蓄電池としても活用できるV2Hスタンド・V2Hポッドで構成する。蓄電池とV2Hシステムは、後付けも可能だ。
EVへは倍速充電・拡張充電機能で大容量でも素早く充電でき、蓄電池から給電する配線系統を選ばないため、停電時にどの部屋でも電気が使える安心設計となっている。
EVの普及はこれからだが、Lib Tower Plusは、V2Hと組み合わせることで充放電ができることがポイント。充電器のみのユーザーも多いが、長府工産では太陽光発電を利用してEVへ電気を送り、たまった電気をEVから放電して住宅で使うという、自給自足を提案。最終的にはネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)の実現につなげる。
今回、家庭用蓄電システムを自社ブランドとして立ち上げた。伊奈紀道社長は「わが社の本気度を表す。営業が自社のブランドとして提案できるのは自信になる」と語る。
8月までの全体の実績は、今期目標の270億円を達成するペースで進んでいるという。V2Hの台数は、前期の倍から3倍程度を見込んでいる。
気候変動の影響で、台風など災害も大型化。電柱が倒壊すると復旧に時間がかかり、停電が長引くこともある。「今はどこで災害が発生するか分からない。ますます求められる設備になってくる」(伊奈社長)と、変化に合わせた提案で売り上げを伸ばす。
最近は電気代が高騰し、創エネ・蓄エネにも再び関心が高まる。環境問題が解決しない以上、関連ビジネスはこれからも継続して伸びていくと見ている。