2022.10.05 デジタル庁、「Web3.0」研究会始動 経済社会の将来像探る

 デジタル庁は5日、新しいインターネットの概念「Web3.0(ウェブスリー)」に関する有識者研究会の初会合を開いた。Web3.0を活用した経済や社会の将来像を探り、必要な環境整備について多面的な議論を深める。成果は、年末までに取りまとる計画だ。

 今回の「Web3.0研究会」は、三菱UFJフィナンシャル・グループやデジタルガレージの関係者らで構成。座長は、慶応義塾大学総合政策学部の國領二郎教授が務める。

 Web3.0の基盤となるのが、取引履歴を1本の鎖のようにつなげて記録するブロックチェーン(分散型台帳)技術で、ブロックチェーン上のデジタル資産を「NFT(非代替性トークン)」で唯一無二と証明する展開に注目。ブロックチェーンを利用した「DAO(分散型自律組織)」と呼ぶ組織形態の可能性にも熱い視線が注がれている。

 初会合では、参加する有識者がさまざまな立場からWeb3.0を巡る考え方を紹介しながら、意見を交わした。「研究会をDAO(の実験場)にしたらどうか」という提案のほか、「日本だからできることを確立し世界に発信すべき」という意見も飛び出した。

 政府は、6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針)や「デジタル社会の実現に向けた重点計画」などで、Web3.0の推進に向けた環境整備の検討を進める方針が明示された。

 会合の冒頭で河野太郎デジタル相はこうした方針を踏まえ、「デジタル庁がデジタル社会実現の司令塔として、Web3.0に関する政府全体の取り組みの総合調整に当たる。実現を目指す経済、産業、社会の姿についてしっかり検討していくために研究会を設置した」と説明。その上で、「日本の経済成長につなげていくためにどんな環境整備をしたらいいのかという観点から幅広く議論してもらい、年末までに取りまとめたい」と述べた。

 デジタル覇権を狙う欧米などの各国政府は、Web3.0を自国の競争力や企業誘致などにつなげようと動き始めており、世界の新潮流に乗り遅れない対応が求められている。