2022.11.17 COP27、日本の環境技術力を発信する舞台に 競演に熱視線

COP27のジャパン・パビリオンに東芝グループが展示した超電導モーターの模型。来場者の熱視線が注がれた=エジプトのシャルムエルシェイク(提供=東芝)

来場者の関心を集めた東芝グループの展示物(提供=東芝)来場者の関心を集めた東芝グループの展示物(提供=東芝)

COP27のジャパン・パビリオンで来場者に説明する日立製作所グループの担当者(提供=日立)COP27のジャパン・パビリオンで来場者に説明する日立製作所グループの担当者(提供=日立)

日立製作所がジャパン・パビリオンに展示したジオラマ(提供=日立)日立製作所がジャパン・パビリオンに展示したジオラマ(提供=日立)

 地球温暖化対策をテーマにエジプトのシャルムエルシェイクで開催中の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)を機に、日本の大手電機メーカーなどが温暖化対策を支援する技術やソリューションの発信に力を入れている。アピールの舞台は、環境省が主催する「ジャパン・パビリオン」。来場者の熱視線が注がれており、国内各社が磨いた環境問題の解決力を世界に認知させる好機となりそうだ。

 街を模した立体物と映像を組み合わせ、グリーンで快適な社会の全体像を表現――。日立製作所はそんなジオラマ(情景模型)を、6日開幕のCOP27期間中に設けられたジャパン・パビリオンに展示。脱炭素社会を支える多彩なソリューションも披露している。

 一つが、送配電事業会社の日立エナジーが手掛ける「HVDC(高圧直流送電)」と呼ばれるシステムだ。送電ロスが少なく長距離でも大量に送電できることが特長で、遠隔地で発電した巨大な再エネを大需要地に届けることが可能だ。グループ会社の日立レールがイタリアのジェノバ市で都市全体の交通網をデジタルで接続した実証実験なども紹介している。

 日立の担当者は18日の閉幕前に出展活動を振り返り、「持続可能な社会の実現に貢献するソリューションや技術に対して、多くの来場者に関心を持ってもらい、大変良い機会だった」と手応えを述べた。

 一方、再エネによる電力を利用して二酸化炭素(CO₂)を分解して価値ある資源に変換する「P2C(パワーツーケミカルズ)」などを訴求しているのが、東芝と東芝エネルギーシステムズ。P2Cの核となる「CO₂電解装置」の模型を展示。世界で初めて最高出力2メガワットの「超電導モーター」の試作機を開発した成果も、模型で披露している。

 開発したモーターは、従来型と比べて10分の1以下という軽量・小型化も実現。船舶やトラックなどの大型モビリティー分野で高まる電動化のニーズに対応し、今後も改良を進め、社会実装の取り組みを加速したい考えだ。

 事業活動で消費するエネルギーを100%再エネで賄う「RE100ソリューション」の実証施設を滋賀県草津拠点で稼働させたパナソニックホールディングスも、環境技術の発信に余念がない。水素をそのまま使って発電する純水素型燃料電池に太陽電池とリチウムイオン畜電池を組み合わせた同ソリューションを、模型や映像などで紹介している。多彩な環境技術で競演する取り組みが、最終日まで熱を帯びそうだ。