2023.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’23年各社の戦略  パナソニック くらしアプライアンス社 松下理一社長

松下 社長

サブスクを収益の柱に
新しい価値訴求で需要喚起へ

 2022年は想定していなかった環境が続いたものの、第1四半期(4~6月)における上海ロックダウンや、原材料・物流コストの上昇などのマイナス影響を、第2四半期(7~9月)で打ち返し、増収増益に転じることができた。

 価格改定や、流通政策の改革に踏み切り、新販売スキームの対象商品が全体の30%近くまで拡大したことが経営的にプラスとなったほか、調達コストの見直し、生産効率の改善など合理化に力を入れ、ネガティブな要因を打ち返すことができた。

 商品を個別に見ても、ドラム式洗濯乾燥機は、上海ロックダウンの影響で部品供給が滞って生産できない時期もあったが、生産再開後は上位モデルが予想を上回る販売につながった。

 生産拠点である袋井拠点(静岡工場)では、生産ラインを3ラインに増強したほか、SCMを意識した工場改革に取り組んだことが貢献した。

 また、好評のヘアドライヤー「ナノケア」プレミアムモデルの新製品として、従来よりコンパクト化したEH-NA0Jを昨年9月に発売し、好評で増産となった。掃除機では、セパレート型コードレススティック掃除機MC-NS10Kが健闘した。

 加えて、新しい取り組みとして業務用ロボット掃除機「RULO Biz」を活用し、人手不足・高齢化の課題にルーロで貢献する清掃プラットフォームサービスを22年4月から開始した。

 新たに障害者雇用企業とパートナーシップを組んだほか、全日警と、機械警備システムが導入された施設における自動清掃で新たに協業するなどサービスを拡充している。

 先進の家電やこだわりの空間などを通じて上質で豊かなくらしを提供する賃貸住宅向けサブスクリプションサービス「noiful(ノイフル)」を開始した。「noiful base 駒込」は全6室が契約済みとなるなど、順調に進展している。

 21年6月にスタートした家電と食のサブスクリプションサービス「foodable(フーダブル)」もサービスを拡充し、22年10月時点で契約者数が3倍になり好評だ。

 こうしたサブスクリプションサービスは、23年から24年にかけて収益の柱となるように持っていく。

 海外では、特にアジア市場における富裕層をターゲットとした高機能かつ感性価値を追求した商品戦略を加速し、パナソニックのイメージを刷新していきたい。

 23年は新型コロナの影響も限定的になると見られ、われわれとしても新しい価値を訴求し、需要喚起につなげたい。コロナ禍で生活スタイルが変わったことと、変わらなかったことがある。また物価高、電気代高騰を背景に、より省エネ、経済性にも関心が向くなど、こうした動きをよく見極めて商品、サービスを立ち上げていきたい。

 新製品開発においては、ME(マイクロエンタープライズ)制の下、10のチームで取り組んでいる革新的な商品を23年に積極的に投入する。24~25年に向けた次のテーマで第2弾のプロジェクトも進めていく。