2023.01.03 【暮らし&ホームソリューション特集】’23展望 電子レンジ/オーブンレンジ

簡単、おいしく調理できる機能が進化するオーブンレンジ

内食や時短調理ニーズで関心高まる

 コロナ禍で在宅時間が伸びたことで、内食化が進み、2020年以降調理家電は全般的に注目された。調理家電の中では、近年IoT化を含め調理機能が高度に進化したオーブンレンジの商品戦略が進化している。

 電子レンジの市場全体は安定した需要が見込める。日本電機工業会(JEMA)の調査で、21年度の電子レンジ出荷台数は、前年比101.5%の369万1000台だった。

 22年度に入ってからは、11月末までの累計では前年同期比94.8%にとどまっている。上海ロックダウンの影響で生産に影響が出たこともあって、前年を割り込む実績となったが、解除後は出荷も正常に戻り、後半は追い込んだ。

 電子レンジのうち、オーブンレンジは、スチームやレンジ、オーブンなどさまざまな加熱手法を駆使し、多彩な料理がおいしく、簡単に作れることから、内食の進展、時短調理(省家事)ニーズの高まりを背景に、関心は強まっている。

 本格的な調理まで対応できる多機能なオーブンレンジでは、時短調理・自動調理機能の充実やIoT機能との連携など、商品進化のスピードは速く、顧客ニーズをくみ取った商品開発が活発だ。

 堅調な市場ニーズを背景に、調理家電大手の象印マホービンが改めて市場参入するなど、市場にも変化が見られ、今後の活性化にも期待がかかるところだ。

 内食化の進展で、オーブンレンジの利用は増えている。内食での利用に加え、中食(総菜温めなど)での利用も高まっている。

 ウォーターオーブン ヘルシオを販売するシャープが、最上位モデル利用者の調理ログデータを解析したところ、19年上期と比べ、コロナ禍が始まった20年上期は内食利用(まかせて調理)が1.4倍強に拡大したという。

 またトーストや総菜温めなど中食も1.4倍強に伸び、内食・中食利用とも、21年以降も同水準の利用が継続しているという。

 こうしたことを背景に、市販の総菜をおいしく温める機能の開発をはじめ、市場ニーズにあった機能開発も活発に進んでいる。

 また、内食や中食をサポートする機能として、自動調理機能の進化が貢献している。冷凍、冷蔵、常温の食材が混在しても同時に最適に温めたり、解凍の手間なく冷凍うどんを具材とともに焼きうどんに調理する、など高精度なセンサーを使って、最適に加熱調理できる機能が進化している。