2023.01.11 【電子部品総合特集】ヒロセ電機 石井和徳社長 モノづくり力の強化に努める

石井 社長

 22年度は1Qは好調だったが、7月ごろから少し受注ベースに陰りがみられるようになった。足元でも、製造業の先行きの市況はプラスの要素は乏しい。23年を展望すると、受注がどのタイミングで上向きになるのかが問題だが、回復にはもう少し時間がかかるのではないかとみている。

 一方、当社のビジネスを考慮すると、マクロ的には今後もDXやGXのトレンドにより、市場での電子化・電動化の流れがとどまることなく進むと予想される。あまり手元のことで右往左往することなく、しっかりと軸を持ち、基本に忠実な姿勢で先を見た行動に努めることが重要と考えている。

 23年度に向けても①技術開発力の強化②モノづくり力の強化③人財育成に重点を置く。技術開発力の強化では、22年秋に開催した「ヒロセ技術展」で得られた顧客からの評価をベースに商品力を強化していく。モノづくり力も重要度が増している。顧客の要望に対し、高品質の製品をタイムリーかつ最適なプライスで提供することで、顧客満足度を高めていく。多岐にわたる顧客ニーズに応えるため、モノづくり力の強化に努める。社員一人一人の人財力を高め、チーム力でパフォーマンスを上げていく。

 22年は3月に米国シアトルにセールスオフィスを開設した。23年には、郡山新工場(福島県郡山市)に着工するほか、生産設備開発拠点の「東北アドバンスト・テクノロジーセンター」(盛岡市)の建設にも着手する。韓国のヒロセコリアでもR&D棟を増設している。そして24年には稼働に移行させる。

 23年度も積極的な設備投資を実行する。ただ、顧客の所要や需要などの変化への対応力を今まで以上に意識して取り組む。このため、BCP対応やシミュレーション機能を含め、リスク管理のための活動を強化する。

 新製品開発は、これまで同様に、こだわりを持って取り組む。同時に、既存品の深掘りにも取り組む。特に産機市場での当社の裾野が広がり始めているため、市場ニーズに合わせて既存品の深掘りを進める。

 今後もコミュニケーション力強化に継続して取り組む。最近は、コロナ禍対応を含め、リモートの良さ、そしてリアルの良さをそれぞれ再認識している。進化系の新しいコミュニケーション方法を追求していきたい。