2023.01.11 【電子部品総合特集】イリソ電子工業 鈴木仁社長 主力の車載市場を中心に強化

鈴木 社長

 22年を振り返ると、ロシアのウクライナ侵攻に尽きる。それによって物価高や資源価格高騰が起こり、その結果、円安も引き起こした。当社は生産や販売の海外比率が約8割に達するため、影響は大きかった。

 22年3月に、秋田県横手市に新工場を建設することを発表した。秋田工場は23年の4月ごろに着工し、25年の本格稼働を予定している。また、22年4月にコネクターなどの射出成形金型と金型部品の製造・販売を行うエスジーディー(現イリソエンジニアリング、岩手県花巻市)を子会社化し、先頃、花巻市に金型の新工場を建設することを決めた。

 近年の当社は、国内生産比率が低くなっていたが、今後は新工場の建設により、バランスがとれてくることを期待している。

 22年の年末以降、中国もゼロコロナ政策を変更したため、今後は少し経済が改善し、自動車生産も増えていくと思う。コロナ禍前のレベルに近づいていくと考えている。

 23年度に向けても、主力の車載市場を中心に取り組む。特に電動車向けでの当社シェアを上げていく。22年は中国のEV市場が大きく成長したが、23年もその勢いは継続するとみている。インダストリアル市場も第2の柱として強化していく。

 23年度は、現中期経営計画(3カ年)の最終年度に当たる。売上高については、為替の円安の寄与もあるため、中計最終年度目標(520億円)を1年前倒しで22年度に達成できる見通しだが、営業利益率20%の目標には届いていないため、新年度に向けてしっかりと取り組む。同時に、23年には、24年度からスタートする次期中期計画の骨子も作っていく。

 当社は長期ビジョンとして、2030年3月期に売上高1000億円の目標を掲げている。このプランにうまくつなげていけるように施策を立てていきたい。外部の経済環境が悪化したとしても、長期ビジョンの目標にリニアに近づいていけるようにしたい。

 設備投資は、22年度はERPへの投資があったため、投資額が大きくなった。23年度は秋田工場や花巻工場への投資があるが、その後は通常ペースで生産設備への投資を行うことになる。今後も設備投資には積極的に取り組む。ESGの観点から、省エネ化のための工場付帯設備への投資なども実施する。