2023.01.11 【電子部品総合特集】TDK 齋藤昇社長 チームワークをしっかりと育む
齋藤 社長
2022年4月の社長就任後に感じているのは、前を向いて180度の視界で事業を展開するだけでなく、背後も含め360度の視野で見ていかないといけないということ。さらに直近では360度でも不十分で、540度ぐらいの視野でモノを見ていかなければいけないと感じている。特に最近は、事前の想定をはるかに超えることも起きることもある。より広い視点で見ていかないといけない時代になったと思う。
22年度上期は柱であるバッテリー事業が好調に推移して全社をけん引してきたが、加えてそのほかの事業とのポートフォリオのバランスをしっかりとっていくことを重視し、その芽が別の柱事業である受動部品とセンサーで出てきている。22年はバランスのとれた事業ポートフォリオにステップアップしていく年になったと思う。23年度以降はさらに持ち上げていきたい。
BCP対応が重要性を増しているが、当社は中国を市場として重要と考えている。地産地消の観点から今後も中国での事業を展開していく。同時に、それ以外の地域では『中国プラスアルファ』という形で生産拠点も見据えて展開していく。バッテリー事業は中国がメインだが、インドを第2の拠点と位置付け、手を打ち始めている。
EX市場は伸びる
電子部品市場は短期的にはスマートフォン市場の影響などで少し厳しい状況が予想されるが、中長期ではEX市場は必ず伸びる。xEVを中心としたEV向け需要や再生可能エネルギーなどのEX拡大の潮流は今後も変わらない。もう一つの当社の成長ドライブはDX市場の拡大。中長期では必ず伸びていく。このような背景から電子部品市場の見通しは中長期では明るい。
企業の成長のために最も重要なのは「人」。社長就任初日に全社員に「すべては人が重要」というメッセージを発信した。当社はテクノロジー企業だが、技術の開発も生産もマーケティングや販売も全て人が行う。加えて重要なのは「チームワーク」。個人の成長とともに、それをつなげるチームワークをしっかりと育む、その後押しをしていきたい。
原材料やエネルギー価格の高騰など、経営を取り巻く外的環境が厳しい時期こそ、自分たちでできることに取り組みたい。品質や生産性の向上などやれることはたくさんある。こういう時期だからこそ「自力」をしっかりつけるための活動により一層注力したい。